「財政健全化はただのDV野郎」と山本太郎、新規国債による生活底上げを主張
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れいわ新選組の山本太郎代表は13日、茨城・つくばエクスプレスつくば駅前広場で街頭記者会見を開き、「財政健全化はただのDV(国内暴力)野郎」と批判し、国民生活の底上げを主張するとともに、消費税廃止にともなう税収減を全額新規国債で賄っても物価上昇率は最大、1.2%にとどまる試算を発表した。
会見は午後6時半から2時間40分超開かれた。寒空の下、約200人が参加した。
男性が「プライマリーバランス(基礎的財政収支・PB)黒字化を目指すかどうか」と質問した。山本氏は「収支を合わせる、つまり入ってきた税金以上のものは使ってはいけないということは、どんどんパイが小さくなっていく」と否定的な見解を示した。
PB黒字化の最も簡単な方法は予算を半分にすることだとして、公務員や社会保障費などさまざまなものを削減しなければならないと指摘。過去にこれを実現したギリシャやアルゼンチンでは国民が疲弊し、自殺が増えたことを紹介した。
「20年以上デフレが続くこの国では、格差が開くばかり。多くの人々の生活は地盤沈下したまま。財政健全化はただのDV野郎だと思ってる」と両断。国民生活の底上げを最優先課題に挙げ、消費が喚起されるなかで企業の投資も増えると説いた。
「完全に衰退しているうえに、PB黒字化とか財政再建とか財政規律とかいう言葉を持ち出せば、これは人々に対し、死ねと言っているに等しい」と述べ、子どもの7人に1人、高齢者の5人に1人、障がい者の4人に1人、一人暮らし女性の3人に1人が貧困である現状を紹介した。
本格的デフレに入ったのは消費税を5%に引き上げた翌1998年で、それによって超就職氷河期が生まれたと説明。少子化の陰に「失われた世代」に対する国の投資不足があると指摘したうえで、「政府がやったことはまったく逆。『痛みをともなう改革』って何ですか。痛みの後に残ったのは、疲弊した人々だけ」と緊縮財政を批判し、消費税廃止を訴えた。
「消費税を廃止すると26兆円の財源が失われるというが、そうでなく、皆さまに対し、26兆円分の財政出動をするという考え方。消費税をやめることで景気が上向き、税収増につながる」と主張した。
財源には税制改革のほか、新規国債の発行を提唱。「政府は1000兆円の借金があって1人あたり900万円を背負い、これ以上国債発行すれば財政破綻するというのは本当か」と問題提起した。
自国通貨建てで借金をし、通貨発行権をもつのに財政破綻はあり得ないとしたうえで、日銀資金循環統計をグラフ化したものを提示。「政府の赤字と民間の貯蓄は相関関係にある」と指摘した。
信用創造の仕組みを紹介し、「銀行の貸し出しが預金通貨を生み、返済するとお金が消える。同様に政府の借金1000兆円を全額返すと、ほとんどのお金が流通しなくなる」と警告した。
経済学者、トービンとケネディ米国大統領との会話を引用し、国債発行における問題は額でも、GDP比でもなく、インフレ率であるとする一方、税金はインフレが過熱したときに総需要を抑えるための手段だと指摘した。
消費税を5%にした場合の物価上昇率と、ゼロにした場合の新しいシミュレーション結果(参院調査情報担当室が試算)を示した。それによれば、5%にした場合はピークが2年目の0.7%、ゼロの場合でも2年目の1.2%がピークで、日銀と政府がインフレ目標に掲げる2%にも届かない。
「つまり、新規国債で消費税がやめられるだけでなく、それ以外の投資ももっと大胆にできる」と述べ、555万人が借りている奨学金を9兆円で棒引きできることを挙げた。
山本氏は、「20年以上のデフレが続き、人々の生活が地盤沈下しているなかで、国しか経済を動かせない状況。当然、ちゅうちょすることなく新規国債の発行もやるべきだろう」と強調した。
▼関連リンク
「消費税廃止しても物価上昇率は1.67%まで」、山本太郎氏がインフレ懸念を払拭〜浜松<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)
1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。関連キーワード
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