電気自動車時代の本命「全固体電池」は、電池業界のゲームチェンジャーになるのか?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
新型コロナウイルス感染拡大で、自動車の販売台数が落ち込むなか、電気自動車市場の成長が続いている。外出規制などで自動車の販売が鈍化するのは、当然の結果である一方、世界の電気自動車の販売台数は、コロナショックで一時的に減少したものの、昨年7月以降には需要が回復して、過去最高の月間販売台数を更新。
電気自動車の性能を左右する「リチウムイオン電池」のもつ限界を乗り超えるため、「全固体電池」の開発が進む。電気自動車時代の幕開け
昨年11月の世界の電気自動車の販売台数は、前年同期比58%増加して70万台を記録した。地位別では、ヨーロッパ市場は同106%、中国市場は同60%、米国市場は同28%の増加となった。
自動車業界の専門家は、今年から2030年にかけて電気自動車市場が急速に伸びることを予測している。市場調査会社のSNEリサーチによると、今年は世界の電気自動車の年間販売台数が687万8,000台になると見込まれている。世界の電気自動車市場は、年平均21%成長し、30年には販売台数が4,000万台になるとされる。今年から、本格的に電気自動車の時代が幕開けするわけだ。
電気自動車の性能を左右する主要部品である電池をめぐって、世界各国のメーカーが開発競争を繰り広げており、注目が集まっている。加えて、今回の開発競争では、電池メーカーだけでなく、アップルなど自動運転車関連の企業も参入する。
電池は、電気自動車のなかで40%ほどの比重を占めるもっとも大切な部品である。電気自動車の電池といえば、現在は「リチウムイオン電池」が主流となっている。リチウムイオン電池は正極材、負極材、電解質、分離膜で構成されており、基本的には、正極と負極の間をリチウムイオンが行き来することにより、電池の充電と放電が行われている。
電池の電解質はリチウムイオンが行き来する道路の役割をはたしているが、現在の電解質は液体でできており、温度の変化により電解質の液体が膨張したり、外部から衝撃が加わると電池が損傷して火災が発生するケースもあり、安全性の上で課題を抱えている。また、液体の電解質は価格が安いものの、充電に時間がかかり、容量が少ないという限界がある。
(つづく)
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