【ドキュメント】中洲クライシス そして中洲(ここ)で生きていく(後)
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昨年4月に続く2回目の緊急事態宣言発出(1月13日)から半月が過ぎた2月2日、菅政権は宣言の期間を1カ月延長することを決めた。その一方、与党政治家の銀座クラブ通いが発覚して議員辞職に追い込まれるなど、歓楽街の営業自粛問題は本音とタテマエのはざまで揺れている。感染拡大第3波に見舞われた中洲で生きる人々の声を拾った。
コロナ禍にオープン~居酒屋のWithコロナ
中洲中央通りとほぼ平行に明治通りから櫛田神社まで伸びる川端商店街は、コロナ禍前までは外国人観光客で賑わいが絶えなかった。商店街のほぼ中央付近に居酒屋『Hakataおっしょい』がオープンしたのは、昨年12月1日。オーナーで店主の城戸茂さん(53)はそれまで、地下鉄空港線・中洲川端駅が入るビルの2階で別の居酒屋チェーン店長をしていた。人を惹きつけて離さない気さくな人柄に魅せられて通い詰める常連客は多い。顧客にはマスコミ関係者も多く、コロナ禍以降は頼まれて地元テレビ局のKBCやNHKの取材なども受けてきた。
昨年12月といえば連日新規感染者が増え続け、第3波の到来がほぼ確実視されていた時期。そのなかで新たに店を持つことに対する不安はなかったのか。
「直前まで店長をしていた店では、昨年の緊急事態宣言時に底だった売上が徐々に上がり、10月は前年とほぼ同じ売上にまで戻っていました。これはいけると思っていたところ、年末にガクンと落ちたので、不安だったことは確かです。ただし良い面を見れば、川端商店街という超1等地を借りることができたのもコロナ禍だからこそ。そういう意味では自分は運の良い男だと思います」
城戸さんに付いていた客をそのまま新店で引き継いだこともあって、12月の売上は目標を上回る600万円超を記録。しかし、第3波直撃の影響は避けられず、1月は目標額のほぼ半分にとどまった。スタッフの雇用を守るため、いまはランチ営業などで急場をしのぐしかないという。午後8時までの営業時短要請にも応じて、1日6万円の協力金も申請する予定だ。チェーン店の店長時代、本店から課せられた売上ノルマを下回ったことがないという城戸さん。飲食業につく前は別の業界でサラリーマン経験もあり、「売上必達」の厳しさをいやというほど知っているだけに、飲食業界だけが協力金で支えられるという状況に複雑な思いを抱いているという。
「我々は一生懸命な姿を見ていただいて、お客さまに評価してもらうしかない。協力金も正直ありがたいが、私は経営者でもあるので、いつまでも状況に甘えるわけにはいかない。悪い状況でいかに利益を上げるか、そこに責任があるんです。事業というのは結局、その部分に向き合えるかどうかだと思います」
(了)
【中洲クライシス取材班】
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