【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(8)~航空機事故は自動車事故より確率が低いから安心?
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
前回は、過去に起きた福岡での航空機事故の事例を改めて紹介した。こうした航空機事故の話題になると、よく「航空機事故は、自動車事故よりも確率が低いから安全だ」「事故を気にしていたら、飛行機になんて乗れやしない」といったことを話す人がいる。
たしかに、自動車と比べて航空機の事故の確率は低い可能性がある。ただしそれは、先に述べたように、航空機は安全に運航することが大前提であって、国交省や航空会社各社をはじめとした関係者が日々、安全確保のために尽力されているからこそ、事故が少ないのだ。
しかし、航空機の場合に問題となるのは、事故の確率ではない。その事故の規模や影響力だ。仮に万が一、福岡の市街地に航空機が墜落してしまった場合、人的および物的な被害はいったいどれだけの規模になってしまうのか。「事故の確率が低いから大丈夫」ではなく、たった一度でも起こってしまったら、取り返しがつかないことになるということを、もっと認識すべきだと考える。
不安を煽るつもりはないが、2015年2月に台湾・台北で起きたトランスアジア航空235便の墜落事故を記憶されている方もおられると思う。
このときの事故では、トランスアジア航空235便が離陸直後に第2エンジンが故障したうえに、機長の判断ミスによって第1エンジンも停止させてしまったことで失速。高速道路を走行中のタクシーに左翼が接触して同車を大破させたうえで、市内を流れる河川・基隆河へ突っ込んで墜落した。この事故では、乗員・乗客58名のうち43名が死亡して15名が重軽傷を負ったうえ、大破させたタクシーの運転手と乗客にも軽傷を負わせた。実に痛ましい事故である。
このときニュースで流れた235便が高速道路を横切る墜落の瞬間の映像は、まるで福岡都市高上での事故かと見間違えるほど似ており、ぞっとした記憶がある。福岡でこのような事故がないように、ただただ祈るばかりである。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連キーワード
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