2024年11月13日( 水 )

アビスパ連勝ストップも着実に勝ち点 横浜FC1-1福岡

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 サッカーJ1リーグのアビスパ福岡は26日、アウェーのニッパツ三ツ沢球技場で横浜FCと第16節の試合を行った。ここまでアビスパは破竹の6連勝で5位につけ、「J1の台風の目」と報じるメディアも現れるほどの快調ぶりを見せている。

 対する横浜FCはJ1最下位の20位。開幕から大量失点による敗戦が続き、4月8日には成績不振を理由に下平隆宏監督を解任。横浜FCユースを率いていた早川知伸監督を内部昇格させた。早川新監督の下、第15節の湘南戦(5月15日)でようやく今季初勝利を挙げたが、苦しい状況が続いている。

 連勝中のアビスパにとしてはこの試合でも勝ち星を挙げてさらに波に乗りたいところだが、横浜FCはこれ以上負けるわけにはいかない崖っぷちに立たされている。試合は両者ともに前線から厳しいプレスをかける展開となった。

 ここまでアビスパの連勝を支えてきたのは、最前線のFWから始まるプレッシング。しかし前半は、横浜FCの3バックと左右のウイングバックを捕まえきれない時間が続く。26分、左サイドでボールをもった横浜FCのMF手塚康平が大外を駆け上がってきたMF高木友也にスルーパス。高木が福岡DFエミル・サロモンソンのマークをうまく外して左足でクロスを上げると、ニアサイドに構えたFWクレーベがピンポイントのヘディングシュート。クレーベはこれまでアビスパの堅守を支えてきたDFドウグラス・グローリ、DF奈良竜樹のマークを受けながら、抜群のポジショニングで先制ゴールを挙げた。

 横浜FCに押される予想外のかたちで前半は終了。前節同様に思い切った交代カードを切るかと思われたアビスパの長谷部茂利監督だが、このタイミングでは動かず我慢の一手だ。

 長谷部監督の期待にピッチ上の選手たちが応えたのは59分。アビスパは相手ペナルティーエリア前でパスを回し、中央のMF重廣卓也は左サイドのDF輪湖直樹へボールを預ける。輪湖がエリア内に柔らかいクロスボールを送ると、中央に張っていたFWブルーノ・メンデスが高い打点のヘディング。ボールはやや前に出ていたGK市川暉記の頭上を越え、値千金の同点ゴールとなった。

 こうなると、連勝中のチームと勝ちに恵まれないチームには一気に勢いの差が出る。62分にはMFジョルディ・クルークスが強烈なミドルシュートを放つなど、アビスパは一気に攻勢を強める。そして64分、縦パスを追ってペナルティーエリア内に走りこんだFWブルーノ・メンデスとDF中塩大貴が交錯し、メンデスが倒れると主審はペナルティーキックを指示。前節の逆転勝利を思い出させる展開に、テレビの前で思わず手をたたいたアビスパサポーターも多かったのではないだろうか。

 ペナルティースポットにボールをセットしたのは、途中出場のFWフアンマ・デルガド。だが、慎重に助走距離をとって放ったシュートは、ゴール左に逸れてしまう。アビスパサポーターにとっては、残念ながら最も望ましくないかたちで「前節を思い出す」ことになってしまった。

 試合はそのまま1‐1で終了。アビスパのJ1連勝記録は6でストップした。「最下位相手に勝てる試合を…」と嘆くサポーターもいるだろうが、しかし勝ち点をきちんと積み重ねたことは評価するべきだろう。もともと今シーズンのアビスパの立ち位置は「チャレンジャー」。勝ちを計算できる相手がいる立場ではない。それに、この試合で得た勝ち点1が、シーズン終了時に大きな意味をもつことは十分にあり得る。

 次節は5月30日、アウェーで大分トリニータとの九州ダービー。6月9日の天皇杯・鹿児島ユナイテッドFC(J3)戦を経て、6月19日にはホームにヴィッセル神戸を迎える。6月の試合数が少ないのはややさみしいが、しっかりコンディションを整え、連携を強化してくれることを期待したい。

【深水 央】

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