2024年12月25日( 水 )

【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(18)~アジア各国の玄関口はどうなっているのか?

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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏

 さて、「福岡は今のままがちょうどいい」「これ以上発展しなくてもいいのではないか」という話に戻すと、競争相手となるアジア各国の玄関口(空港)はどうなっているのかが気になるところ。実は、とんでもないスピードで発展しているのである。

 福岡から飛行機で約1時間の範囲にある仁川国際空港(韓国)は、首都ソウルから西に約48kmに位置している。永宗島と龍遊島という2つの島の間を埋め立てた造成地につくられており、ほぼ海上空港となっている。今や東アジアの代表的なハブ空港の1つといえるだろう。同空港は4,000mが1本と3,750mが2本の計3本の滑走路を備え、現在、新たに3,750mの滑走路を建設中。近い将来、計4本となる。

 北京大興国際空港(中国・北京)は、2019年9月に開港したばかりのまだ新しい空港である。3,800mが3本、3,400mが1本の計4本の滑走路を備えているが、将来的には6本になる予定だという。

 これらのほかに、上海浦東国際空港(中国・上海)や台湾桃園国際空港(台湾)、チェクラップコク国際空港(中国・香港)、ノイバイ国際空港(ベトナム・ハノイ)、タンソンニャット国際空港(ベトナム・ホーチミン)、スワンナプーム国際空港(タイ)、クアラルンプール国際空港(マレーシア)、シンガポール・チャンギ国際空港(シンガポール)など、名だたる空港はいずれも4,000m級の滑走路を複数本備えている。これが現在の国際空港の世界標準であり、常識なのだ。

 一方、福岡空港には現在、2,800mの滑走路が1本のみ。この1本で国内線と国際線の両方を賄っている。新たに2,500mの滑走路が1本つくられる計画だが、はたしてそれで戦っていけるのだろうか。

アジア各国の玄関口(空港)の状況 ※筆者作成
アジア各国の玄関口(空港)の状況
※筆者作成

Map data (c) OpenStreetMap contributors, CC-BY-SA /一部加筆

(つづく)


<プロフィール>
C&C21研究会 理事 下川 弘 氏下川 弘(しもかわ・ひろし)

1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。

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