ファミマ、PB「お母さん食堂」廃止し、「ファミマル」に刷新~その是非をめぐり、ネットは大炎上(2)
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(株)ファミリーマートは、自主企画のプライベートブランド(PB)「お母さん食堂」などを廃止し、「ファミマル」に刷新する。その是非をめぐり、ネットは大炎上。テレビはワイドショーで特集を組むほどの騒ぎになった。ファミマブランド再生のためにスカウトされた、足立光最高マーケティング責任者(CMO)にとって、想定外の出来事だったようだ。
ファミマは新設のCMOに足立光氏を起用
新型コロナウイルスにより、あらゆる企業が大打撃を受けた。アフターコロナ時代を迎え、企業は全体戦略・組織・業務などの見直しを迫られている。マーケターと呼ばれるプロのマーケティング立案者の出番だ。
(株)ファミリーマートは2020年10月1日、マーケティングを統括するチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)を新設し、日本マクドナルド(株)の業績をV字回復に導いた足立光氏を起用した。CMOは役員級のポストで、CFO(最高財務責任者)などと同様に社長直属となる。商品企画や販売促進の専門知識を持つ人材を招き、ブランドを再構築する。
CMOを置くのはコンビニ大手では初めて。親会社の伊藤忠商事(株)、ファミマともマーケティングの専門的な知見に乏しい。落ち込みが激しいファミマは、消費者を呼び戻すことをマーケティングのプロに託すことになる。
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それに危機感を抱いた親会社の伊藤忠商事は20年11月、ファミマを完全子会社した。そして足立光氏をファミマのCMOに招いた。なぜか。
ファミマの最大の課題は旧サークルK・サンクスのFC店をつなぎとめること
ファミマは16年9月、ユニーグループホールディングス(株)と経営統合。ユニーグループ傘下のコンビニ、(株)サークルK・サンクスを傘下に組み入れた。サークルK・サンクスの店舗が加わり、「万年3位」と呼ばれていたファミマは、店舗数では一挙に2位に浮上した。だが、コンビニの実力を示す1日当たりの1店舗あたりの売上高(日販)は、大手3社のなかで最も低く、首位のセブン-イレブンに大差をつけられている。
ファミマの最大の問題は、サークルK・サンクスからファミマに変わったフランチャイズ店が21年後半から23年にかけて契約更新時期を迎えること。5,000店舗あり、契約を更新できるかにファミマの命運がかかる。下手すると、(株)セブン-イレブン・ジャパンか(株)ローソンに鞍替えすることもあり得るからだ。
加盟店をつなぎとめるためには、客を呼び込める魅力的な店にしなければならない。ファミマは、「ファミチキ」を上回るようなヒット商品を生み出せておらず、マーケティングのプロ、足立氏の手腕に期待をかけたのである。
日本マクドナルドをV字回復させた立役者
足立光氏は米国テキサス州オースティン生まれの53歳。1990年に一橋大学商学部を卒業後、米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の日本法人に入社して、マーケターとしてのキャリアを歩み始めた。
P&Gはマーケティングの異才を多数輩出させている。「世界に通用するプロを育てるため人材への投資を惜しまない」とする会社の方針から社外に転進して活躍する人材は多い。
日本マクドナルド(株)を再建に導いた足立光氏や、(同)ユーエスジェイが運営する大赤字のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を再建させた森岡毅氏ら著名なマーケターを輩出し、通称「P&Gマフィア」と呼ばれる。
足立氏は2015年、日本マクドナルドホールディングス(株)のサラ・カサノバ社長にスカウトされ、事業会社の日本マクドナルド(株)上席執行役員に招かれた。商品名を消費者が決める「名前募集バーガー」や、「ポケモンGO」とのコラボなど話題性のあるキャンペーンを次々に打ち出した集客につなげた。
最大のヒットは「夜マック」。午後5時以降、100円追加するとハンバーガーのパティ(肉)が2倍になる。「夜マック」は、「夜は勝てない」という日本マクドナルドの常識を覆した。どこの店でも来客と売上が圧倒的なのが「ランチ」。劣等生だったディナー帯の伸び率が「夜マック」効果でトップになった。足立氏は異物混入問題で赤字経営に陥った業績をV字回復させた立役者だ。
「同じ仕事を3年以上続けてはいけない」という自らのポリシーを守って18年退社。直近まで、「ポケモンGO」などゲームを開発・配信する米系ナイアンティック(株)のシニアディレクターを務めていた。
(つづく)
【森村 和男】
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