日韓関係の火種、日本企業資産現金化をめぐる韓国の動向(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏最近議論されている対応策
日本企業の代わりに韓国政府が賠償金の相当額を原告側に支払う方法が議論されている。しかし、賠償の対象や財源を賄う方法などはまだ具体的に決まっていない。
損害賠償の対象だが、訴訟を起こした被害者や、その遺族約1,000人余りが対象となるだろう。被害者として認められた人数は21万人以上になるが、賠償の対象は訴訟を起こした人に限られることが有力視されている。
現時点で考えられる解決方法は3つある。1つ目は韓国政府が日本企業に代わって賠償金を支払う方法だ。2つ目は日韓の関係企業が資金を出して基金をつくり、それで支払う方法。3つ目が日韓の国民から資金を集める方法である。このなかで一番有力視されているのが2つ目の方法だが、日本企業がどれだけ協力するかは未知数である。
韓国政府は7月4日、「被害者の話をまとめ、解決案を探る」目的で、外交省、原告の支援団体、訴訟代理人、学会専門家、メディア・経済界から構成される「官民協議会」を立ち上げた。韓国政府が動き出した背景には、現金化が実行されれば、日本との関係が修復不可能になるため、政府は外務省を通して裁判所に意見書を出して、現金化だけは避け、時間を稼いで被害者を説得し、日本との協力方法を模索していることが挙げられる。
しかし、被害者は政府のこうした動きに反発している。求めているのは日本政府の謝罪であり、お金ではないので、日本企業が参加しないなか、韓国政府が国民の税金で今回の問題を解決しようとするのは、真の解決にはならないというものである。
日本政府は、もし日本企業の資産が現金化されれば、あらゆる対抗措置を検討しているという。対抗措置としては「韓国企業へ投資した資金の回収」「韓国経済に打撃になりそうな部品や素材の輸出規制の強化」「韓国人のビザ発給禁止」などの可能性が挙げられている。
駐日韓国大使は、このような最悪の事態になれば、両国企業に数兆円規模の損失が発生しかねないと警鐘を鳴らしている。韓国政府の外交努力で賠償金問題の解決策を模索する一方で、日本が提案した国際仲裁を受け入れ、日韓関係の改善を図る必要があるだろう。
日韓両国は、長い歴史のなかで、不幸な時期があったものの、互いに交流することで発展を遂げてきた。元徴用工問題など、過去の問題はきれいに清算し、新しいスタートを切ってもらいたい。しかし、そのための時間は限られており、年内までが日韓関係修復のタイムリミットではないかと思われる。
日韓関係が回復し、両国が東アジアの安定成長に寄与できるような状態になってほしい。相手を憎むだけでは、何も生まれない。お互いが冷静になって、未来に向かって前進できるようになることを切に願っている。
(了)
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