溶けて溶けてどこへ行くの? 我々には覚悟はあるか(11)~滅び行く金融機関 再編の果てに(前)
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芝浦グループHD社長就任パーティでの所感
8月1日行われた芝浦グループの社長就任パーティに関しての情報は既報した通りである。同社会長・新地哲己氏は挨拶のなかで「我々の会社は金融機関さんのご支援があってこそ事業継続ができます」と強調された。その言葉通りに25行前後の取引銀行(信用金庫含む)が顔を揃えていた。柴戸隆成福岡銀行頭取を筆頭に各行の頭取クラスが列席していたのである。金融機関にとって芝浦グループは本当にありがたい融資先対象であろう。
新地会長の最近のビジネス主体は太陽光メガソーラー事業、マンション事業、賃貸ビル事業、オフィスビル事業、ホテル事業に及ぶ。この分野の事業は金融機関にとっても安心して融資できるものである。長期融資案件であるから猶更、嬉しい。新地会長が金融対策に神経を使ってきたことが功を奏したといえる。一面では金融機関にとって安定した貸出先が少ない昨今にあって、芝浦グループは貴重な存在なのだ。まして同会長の事業計画論を聞けば銀行マンなら誰しも貸したくなるような衝動に駆られる。
だからいって融資ビジネスは甘いものではない。新地会長はかなり厳しい条件=低金利を突きつける。タフな交渉人である。また先見性に非常に長けている。出席した金融業界のなかにはオリックス・イオン銀行などの顔ぶれもある。ノンバンクや異業種からの参入組だ。同会長は「既存金融機関を超える」構想を練っているのであろう。金融機関にとって融資先としての不安はないが、儲けさせてもらうには至難の業であろう。覚悟が必要だ。
それで、どこで稼ぐのよ
現在の金融機関の経営状態を悪化させた張本人は、日本銀行黒田総裁によるマイナス金利政策である。おそらく2018年3月期の決算はどの銀行も大幅減益になるであろう。この張本人に対して、頭取たちが束になって抗議の一つも述べられないのが情けない。来年春、黒田総裁は任期満了で退任する。恐らくマイナス金利政策の反動が生じて、さらに金融機関の経営内容がおかしくなる。その事態になるまで銀行経営者が手を拱いていることが理解できない。
あるコンサル会社での話である。会話が漏れ聞こえる。「ほー、金利が0.6%だって。それはタダみたいなものだ。社長!!儲かったね」と。「どこの会社がタダみたいな金利で融資を受けたのか?」と興味津々で部屋を覗いた。「あー」と声を発する寸前で口を押えた。見覚えのある社長であった。その経営者の会社は10年前1億円を焦げ付かせて内整理状態に陥った経歴があったのだ。「0.6%金利融資対象がここまで緩んできたのか」と絶句したものだ。
ここからが核心。このレポートの核心なのである。金融機関の経営者の皆さま方は、黒田総裁にはなすがままにされ、ボディボローを浴びても文句の一言も発せずしてただ耐えるのみ。またボロ会社には0.6%というタダ同然の金利で貸出事態にまで追い込まれている始末。それで一体、どこで稼いで生きるのよ!!
(つづく)
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