馬毛島、基地建設ついに着工 防衛拠点と翻弄される地域
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防衛省は12日、アメリカ海軍の空母艦載機離着陸訓練施設(FCLP)移転計画にともなって予定されていた、鹿児島県西之表市(種子島北部の市)の馬毛島(まげしま)の自衛隊基地の建設に着工したことを発表した。4年程度の工期で滑走路2本と管制塔、弾薬庫などを整備する予定だ。
馬毛島は、鹿児島県種子島の西約10kmにある約8km2の無人島だ。1980年まで島民がいたが現在は無人島。防衛戦略の舞台として注目されることとなる。
無人島になる以前に、平和相互銀行がレジャー施設の建設計画を企てて馬毛島を買収するも挫折。レーダー基地用地として防衛庁への売却話が持ち上がり、そのための政界工作費用として平和相互銀行は20億円にのぼる資金を費やしたが発覚し、経営悪化した平和相銀は住友銀行に救済合併された(馬毛島事件)。
その後は建設会社が島を買収し採石事業が行われていたが、2007年、硫黄島(東京都)にかわるアメリカ海軍のFCLP移転先候補地として再び注目を浴びはじめた。
11年には日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書で、FCLPの移転候補地と明記された。防衛省は、米軍訓練基地としてだけでなく、自衛隊の訓練・活動拠点としても活用することも方針として固め、航空自衛隊の重要拠点である那覇基地(沖縄県)、鹿屋基地(鹿児島県)、新田原基地(宮崎県)に加え、南西諸島の防衛拠点として運用するものとみられる。
しかし、現地の市民は揺れている。馬毛島が属する西之表市の八板俊輔市長は、FCLP の受け入れについて反対を表明して17年市長選へ出馬、再選挙を経て初当選。21年の市長選でも同じく反対を表明して再選を果たした。ところが、22年に入ると市長はFCLP受け入れに舵を切る。同年12月に市民団体が市長のリコールを目指して署名活動を行ったが、期日までに必要な署名数を集めることができずリコールは断念された。このような市長の変心もあり、市民の気持ちは決して防衛拠点としての受け入れ賛成に一枚岩とはいえないようだ。
【寺村朋輝】
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