韓国経済ウォッチ~サムスン電子の株価下落(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
上海総合株価指数の暴落は、世界同時株安をもたらしている。そのなかでも中国経済に依存度の高い韓国経済には、今回の中国の株価暴落は直撃になっている。
このように中国の影響があることを認めたとしても、最近韓国株式市場の代表格であるサムスンの株価の様子は、どうも尋常ではない。2015年3月に150万ウォンを上回っていたサムスン電子の株価は、8月27日には100万ウォン割り込むような状況になっている。サムスン電子の株価は半年も経たないうちに、何と高値の3分2の水準まで値を下げている。サムスン電子の株価は、27日に106万7,000ウォンという終値で取引を終えているが、この株価は12年2月10日以来の3年6カ月ぶりの最安値である。
サムスン電子の一年間の株価の推移を見ると、15年3月19日に151万ウォンのピークをつけた後、その後5カ月以上ずっと値を下げている。このようなサムスン電子の下げトレンドは今後も続くのか、また何が原因でこのような株価の下落が起こっているのか――。市場関係者は、今後の株価の行方に神経を尖らせている。今回の株価下落の特徴は、外国人投資家の売り越しである。外国人投資家は今月だけでも、サムスン電子の株を90万株以上売りに出した。外国人投資家が、株価の値下げを牽引しているような格好だ。株価は先行指数であるため、外国人投資家はサムスンの将来を不確実性が多いと見ているようだ。
証券街の一部では、サムスン電子の株価は、今後、もう少し下落する可能性があると予測している。一部の証券会社では目標株価を下げるなど、サムスンの株価に対する展望は決して明るくない。しかし、証券会社で目標株価を下げるのは、それほど簡単なことではない。
それでは、なぜ証券会社ではそのような予測をしているのか。証券会社がこのような予測を出しているのには、わけがある。サムスン電子の稼ぎ頭であったスマホ事業の前途が、明るくないからである。
サムスン電子は、今年の下半期に、会心作であるギャラクシーノート5とギャラクシーSエッジプラスを出荷した。しかし、ライバルであるアップルも9月に新製品の発表を予定していて、プレミアム市場ではアップルとの激しい競争は避けられない状況である。
また、主要市場である中国での苦戦も、サムスン電子の懸念材料の1つである。サムスン電子は、中国の低価格スマホと競争するため、今までの戦略を変更してA、E、J、Zという中国向けの低価格品を投入したが、販売結果はそれほど芳しくない。その結果、サムスン電子の中国市場でのシェアは9.9%から7%にシェアを落としている。その反面、中国のスマホ会社の中国市場でのシェアは、第1四半期の66.7%から第2四半期には74.9%に上昇している。それだけでなく、中国人民元の切り下げによって、中国スマホ会社の価格競争力も向上している。それによって、中国のスマホ会社の世界市場での占有率もますます増加するだろう。
中国のスマホ会社の世界市場でのシェアは、13年には10%にも達していなかったが、今年の第2四半期には17.4%まで上昇している。この勢いは、今後、強くなることはあっても、衰えることはないだろう。このような市場環境が、サムスンの株価に影響しているのである。(つづく)
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