米銀行の連鎖破綻に歯止めも、くすぶる金融不安(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏相次ぐ破綻、世界中に広がる不安
8日の米シルバーゲート銀行の自主清算発表に次いで、シリコンバレー銀行(10日)、シグネチャー銀行(12日)が次々に破綻、金融市場に激震が走った。これら3行の資産規模は3,308億ドルで、リーマン・ショック以来の規模だったことも世間に衝撃を与えた。
銀行の連鎖破綻が金融危機に発展するのを恐れたバイデン政権は、迅速に対応。米財務省やFRB、米連邦預金保険公社(FDIC)などの米金融監督当局が「預金は全額保護する」と発表し、金融市場は安定を取り戻した。
しかし、収束したかのように見えた米銀の破綻が欧州にも飛び火、スイスのクレディ・スイス・グループの株価が連日急落し、同行は流動性危機に陥った。スイス中央銀行は火消しのため、最大530億ドルもの資金を注入する支援策を発表して市場の鎮静化を図った。その後、同行はスイス最大の投資銀行であるUBSに買収されることになり、銀行の破綻に歯止めがかかった。
銀行破綻の背景は
今回のシリコンバレー銀行の破綻は、瞬く間に起きたことで、異例だとされている。取り付け騒ぎといえば、以前であれば預金者が銀行の前に長蛇の列をつくっている光景が見られた。しかし、現在は銀行に行かずとも、スマホで簡単に預金の引き出しができる。そのため、わずか24時間で420億ドルの資金が流出することとなった。
なぜそのような取り付け騒ぎが起きたのかというと、FRBの利上げによる保有資産価値の目減り、長短金利の逆転による収益性の悪化、顧客企業の業績悪化による預金の減少などで流動性危機に陥ったからだ。銀行破綻には歯止めがかかったものの、米国の多くの銀行は似たような問題を抱えており、金融市場に新たなショックがあると、いつそうした問題が再燃するかわからない。
FRBが大規模な金融緩和策に踏み切ったのは、2020年3月以降のこと。市場には2008年の世界金融危機の2倍以上の資金が供給された。資金は、暗号資産、ベンチャー企業、不動産市場などに流れ込んだ。しかし、資金が豊富になってインフレ率が上昇すると、米FRBは、一転して8回にわたって4.5ポイントもの利上げを実施した。さらに利上げだけではなく、今まで実施していた金融緩和策をやめ、金融引き締めへと舵を切った。その結果、米国ドルのM2通貨量は、60年ぶりに年間増加率でマイナスを記録した。
金融当局が利上げを実施すると、国債価格は下がる。短期の預金を元手に、長期の米国債などに投資していたシリコンバレー銀行は、金利上昇のせいで、大量の含み損が発生してしまい、財務内容が急速に悪化してしまう。
(つづく)
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