車載電池世界トップシェアCATLの疾走(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏リン酸鉄リチウム電池で世界トップシェアに
創業わずか6年で車載電池世界No.1になった、中国の車載電池メーカー・寧徳時代新能源科技(CATL)は、2022年まで6年連続、世界シェア1位を維持している。CATLは時価総額でも一時、アリババや国有銀行などを追い抜いて中国最大に上り詰めるほど、中国でも存在感を強めている企業である。
韓国のグローバル市場調査会社SNEリサーチによると、CATLは昨年、世界の車載電池使用量690Whのうち270GWh(39.1%)のシェアを占め、世界1位をキープした。2位は中国のBYD、3位は韓国のLGエンソルとなった。
最近、CATLの車載電池は、メルセデスベンツのEVセダンのなかで高級モデルである「EQS」や、KIAが世界で販売している2世代EVである「ニロ」、現代自動車の中国市場向けEV「アイオニック5」などにも搭載が決まっている。とくにベンツには、2030年まで合計200GWhの車載電池を供給することになっている。
各国政府が脱炭素の実現に向けて動いているなか、EVへのシフトが急速に進行。車載電池市場も成長を続け、2030年には5,500GWhに達すると予想されている。EV市場が拡大するなか、中国の急成長に危機感をおぼえた米国政府は、車載電池のサプライチェーン確保に躍起になっている。したがって車載電池市場は北米がリード、今年は60%前後の成長が予想されるほか、ヨーロッパは40%、中国は20%の成長が見込まれている。
このような状況にあって、中国の車載電池メーカーCATLは、その間中国政府の補助金政策で国内市場で十分な体力をつけ、潤沢になった資金を背景にヨーロッパや米国での工場建設計画を相次いで発表している。CATLは韓国の車載電池メーカーが原材料の高騰で価格競争力を失いつつあることを良いことに、生産拠点を世界に展開し、完成車メーカーとの協力を強化していくという計画のようだ。
なぜCATLは世界トップに上り詰めたか
CATLは2011年に創業された新しい企業だ。中国でEVに対する補助金の支給が始まったのも2010年である。内燃機関の自動車で勝負をしても勝ち目がないと判断した中国政府は、EV産業の育成に力を入れる。CATLはまさに中国のEV化の波に乗り、政府の支援を全面に受けながら成長してきた企業なのだ。
その結果、創業わずか6年後の2017年にはパナソニックを抜いてEV用車載電池の出荷量で世界トップに躍進。翌2018年には株式の上場をはたす。それでは中国政府の支援だけでCATLが成功したかというと、別の要因もある。
(つづく)
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