秩序よく進む人民元の国際化
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中国とブラジルはこのほど、ブラジルに人民元決済機関を設立することに関する協力覚書に署名した。決済機能は通貨の国際化レベルを示す主要な指標の1つであり、この合意は人民元国際化の実質的な進展を示している。
このほど中国を訪問したマレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、「マレーシアには米ドルに引き続き依存する理由がない。マレーシア国立銀行(中央銀行)はすでに中国との交渉をスタートさせており、両国間の貿易でリンギット(マレーシア通貨、MYR)と人民元の決済をできるようにする」と述べた。
実際のところ、現在多くの新興市場国が通貨の多様化を推進し、自国通貨による貿易決済のルートを増やそうと努力している。
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人民元が安値の1ドル7元突破、その影響は?ここ数年、人民元国際化の動きが続いている。3月29日、ブラジル政府は中国政府と合意に達し、今後はドルを中間通貨として使用せず、両国通貨間(レアル=元)で直接決済を行うことを明らかにした。その前日の28日には、中国海洋石油集団有限公司(CNOOC)とフランスのトタルエナジーズが上海で、人民元建てで液化天然ガス(LNG)の取引を完了。これは中国が石油・天然ガスエネルギー分野で初めて人民元を使用して行った越境決済でもある。
2016年には、中国はロシアとの間でも原油貿易の一部について人民元建て決済を行うことで合意に達している。17年にはベネズエラが自国の石油価格を人民元建てで計算すると発表した。22年7月には、オーストラリアのBHPグループが初めて人民元建て決済により中国との鉄鉱石貿易を行った。今年2月にはイラク中央銀行も人民元による対中貿易の決済を認めると発表した。現在では、上海協力機構(SCO)や石油輸出国機構(OPEC)などの国際機関でも、加盟29カ国が人民元建て決済に同意している。
人民元の国際化レベルが安定的に上昇
ここ数年、人民元国際化のレベルが安定的に高まっている。中国人民銀行(中央銀行)が発表した「2022年人民元国際化報告」によると、21年末の人民元国際化総合指数は2.80で、前年比で17%上昇した。同期の主要国際通貨の国際化指数はドルが58.13、ユーロが21.81、英ポンドが8.77、日本円が4.93だった。22年第1四半期(1-3月)の人民元の国際化総合指数は2.86で、前年同期比で14%上昇した。
同時に、人民元の国境を越えた受け取りと支払いも急増している。21年の人民元越境受け払い額は前年比29.0%増の合計36兆6,100億元(1元は約19.4円)に達し、22年上半期は前年同期比15.7%増の20兆3,200億元だった。人民元越境受け払い額は12年の5,000億元前後から急増し、現在は35兆元以上となっている。
国際銀行間通信協会(SWIFT)がまとめたデータによると、人民元の国際決済シェアは21年12月に2.7%に達し、日本円を抜いて世界4位の決済通貨になった。22年1月には3.2%に上がり、過去最高を記録した。
経済力の上昇が人民元国際化の保障に
どの国の通貨であっても、その地位は国の経済力によって保障されている。ある経済アナリストは、「ここ数年、中国経済が持続的かつ安定的に成長して、人民元が国際化するための基礎をしっかりと固めた。過去10年間、中国はずっと世界の経済成長の重要なエンジンだった。また、人民元レートは安定しており、国際通貨に求められるリスク回避という属性において存在感を強めている。
22年以降、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め政策、ロシア・ウクライナ紛争といった要因の影響により、ユーロや円などの通貨がドルに対して大幅に値下がりしたが、人民元は相対的に堅調で、投資家にとっての魅力が増している」との見方を示した。
国際通貨システムの多様化は必然的な流れ
人民元の国際市場におけるシェア上昇は世界各国の「脱米ドル化」の流れにおける氷山の一角に過ぎない。
米経済学者のロバート・トリフィン氏は早くも1950年代に、「ドルが国際基軸通貨であることと、その国際支払い能力との間には調和できない矛盾がある」と鋭く指摘していた。簡単にいえば、米国はドルを世界中に流通させるためには、絶えずドルの供給量を増やして常に貿易赤字の状態を維持しなければならない。一方、ドルの流動性が大きくなると、ドルには貨幣価値下落の圧力がかかり、ひいては国際社会のドルに対する信頼を揺るがすことになる。
国際通貨システムの多様化は必然的な流れだ。複数の国が人民元建て決済に同意したのに続き、インドやアルゼンチン、ASEANなどの国・国際機関が最近、ドルによる決済から自国通貨による決済に変更することを相次いで検討するようになった。また、米国債の売却も世界中で静かな流れになっている。FRBが発表したデータによると、22年に米国以外の世界の投資家が米国債4,259億ドルを売却した。そのうち中国は1,732億ドル、日本は2,245億ドルと、大幅な売却を行った。今年1月、中国はさらに77億ドルを売却して、保有額は8,594億ドルまで減り、2009年5月以降の最低水準を更新した。
人民元の国際化は急速に進行しているが、人民元はより安定した、公平で、多様な国際通貨システムの構築に向けて独自の力で貢献しているといえる。この先の道のりはまだ長いが、ブレイクスルーのポイントはすでに近づいている。
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