モバイル決済市場の急成長(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏モバイル決済市場とは
決済とは、相手から提供された製品やサービスに対して、お金を支払うことを指す。
決済の方法(ここでは国際貿易や大手企業同士などの決済ではなく、個人の決済を対象にする)は時代とともに変化してきた。以前はキャッシュが多く使われていたが、クレジットカードという便利な支払手段が登場して以来、これが決済の主要手段となった。とくに韓国では、決済におけるクレジットカードの使用割合は9割を上回っている。
ところが、世界規模で見た場合、発展途上国などで銀行口座やクレジットカードを保有していない人口はあまりにも多い。そこで、誰でももっているスマートフォンを利用して「キャシュレス」で支払ができる便利なサービスが登場し、市場が急成長している。
ここでいうキャシュレス決済とは、クレジットカードの情報や銀行口座をスマートフォンに事前に登録しておき、あとでスマホをかざしたり、QRコードを読み取ったりする方法である。一般に「○○ペイ(Pay)」と呼ばれるサービスを含んだ多様な決済方法で、その利便性は高く評価され、いまやモバイル決済の代表的なものとなりつつある。韓国の「モバイル決済」の市場規模は約300兆ウォンという巨大なもので、銀行などの既存の金融機関はもちろん、スマートフォン製造会社、ビックテック、流通大手など、多くの企業がその市場に続々参入している。
そのような状況下で、市場を支配していたクレジットカードは割合が減少傾向にある一方、ビックテックは急成長を遂げ、キャシュレス決済市場をリードしている。市場が急拡大した背景としては、デジタル技術の革新とともにオンラインショッピング市場がオフライン市場より規模が大きくなったことや、新型コロナの感染拡大がオンライン決済を急速に拡大させたことが挙げられる。
とくに中国ではQRコード決済が圧倒的な存在感を示せるようになっているが、導入のハードルが低い上に、システム構築に既存の決済ネットワークが不要である点が功を奏している。それに、中国政府は偽札問題でいつも頭を悩ませてきたが、キャシュレス決済への移行によってこの問題を解決できただけでなく、決済データも取得でき、一挙両得の結果となった。
最後にキャッシュレス決済のお金の出どころだが、現在は主なものとして銀行口座、クレジットカード、仮想通貨、ポイントなどがある。
韓国ではモバイル決済市場が急成長している
韓国では、ネイバーペイ、サムスンペイなど、キャシュレス決済の割合が増加の一途をたどる一方、クレジットカード会社の割合は徐々に縮小している。
韓国銀行によると、キャシュレス決済全体のなかでクレジットカード決済の占める割合は26.8%で、2019年に比べ大幅に減少している。一方、ビックテックのキャシュレス決済の割合は、56.2%から66.6%へと10.4%増加。1日の平均決済金額も1兆3,300億ウォンとなり、コロナ感染拡大前に比べると、3年間で2.5倍成長したことがわかる。ビックテックのなかでも、市場シェア1位のネイバーペイの会員数は3,150万人で、2位はサムスンペイで1,545万人、3位はペイブックで657万人となっている。
(つづく)
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