モバイル決済市場の急成長(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏韓国ではモバイル決済市場が急成長している(つづき)
各種ペイは、利用の際の利便性に加え、手数料の安さやポイント還元などのメリットを付与して会員の囲い込みを狙っている。
競争の激しい韓国決済市場に、今年3月、アップルペイも上陸し、市場はヒートアップしている。アップルペイの滑り出しは上々で、サービス開始と同時に100万人のユーザーを獲得し、大きな話題を呼んだ。ネイバーペイ、サムスンペイなども、会員を奪われるのではないかと、アップルペイの登場には神経を尖らせている。
アップルペイはNFC方式なので、アプリを表示させる手間もかからない。アイフォンユーザーにはアプリが最初からインストールされていて、自分でアプリをダウンロードする必要がないことも大きな魅力であろう。
今後ますます成長することが予想されている決済市場をめぐり、既存市場を守ろうとする韓国企業とアップルとの間で、仁義なき戦いが繰り広げられるだろう。決済までスムーズに流れて初めて取引は完結するものであるから、決済プロセスはもっと重要になってくるだろう。それに、データが蓄積されると、顧客を正確に理解する貴重な情報も確保できることになるのだから、どの企業もこの市場に食指を動かされるのは納得がいく。
今後の課題と展望
ネットモールなどの流通会社がモバイル決済に力を入れているその理由は、ロイヤルティの高い顧客を囲い込むことで、決済ビジネスを成長させたいという狙いもあるが、蓄積された取引デーが新たな価値を生むことにある。しかし、多くの企業が参入することで競争が激しくなり、大多数の事業者は淘汰されることになるだろう。
今のところ、多種多様のペイが存在しているが、はたしてその経営状態はどのようになっているのか、今後も生き残っていけるのか、誰にもわからない。それに、キャシュレス業界には解決されるべきいくつかの課題がある。
会員がチャージしたお金は会社が保管することになるが、それが安全に保管されているのかなど、セキュリティへの関心も高まっている。ハッキング攻撃で顧客の資産が失われたり、顧客の情報が流出したりする被害が発生しているからだ。さらに、手数料問題も今後の課題である。ユーザーの負担をできるだけ軽減する方向で政策の検討が進められるべきだ。
今まで銀行口座やクレジットカードをもたず、金融にアクセスできないでいた層も利用できる仕組みをつくることも大事である。銀行の審査に通らず、今までは金融サービスから除外されていた層にも、金融にアクセスできるようにすることを模索すべきだ。プリペイドカードなどはその工夫の一環として誕生されたものだが、今後誰でも金融にアクセスでき、支払の利便性を享受できるようになってほしい。
現在、暗号通貨で支払ができるデビットカードなどの研究が進んでいる。今後、アフリカや東南アジアなどでそうした新しい決済方法が開花することになるかもしれない。
(了)
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