安心R住宅 22年度に過去最高の実施件数を記録
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ストック(既存、中古)住宅の流通拡大を目指して、国が2018年に運用を開始した制度「安心R住宅」。その22(令和4)年度の実施実績(安心R住宅調査報告書提出件数=流通件数)がこのほど明らかになった。それによると、制度を利用したストック住宅の流通件数は前年度比41%増加の1,769件となり、過去最高を記録したことが分かった。制度スタート以来の累計数は6,913件となった。
同制度の狙いは、これまで新築が主体だった住宅取得のスタイルに、ストック住宅が選択肢に入り易くすることで、膨大な数に上る後者を有効活用し、さらに若年子育て層の住宅取得を容易にすることにある。
ストック住宅の流通には、「不安」「汚い」「わからない」といったマイナスイメージが根強くある。そうした問題点を払拭し、消費者が安心して購入できるようにするため、同制度は18年度から運用が始められていた。
具体的には、耐震性など基本的な性能があること、リフォーム工事などにより「きれい」であること(実施されていない場合は費用を含む提案書がある)、設計図や点検、補修などの履歴情報があるといった基準を満たす住宅に対し、安心R住宅マークを付与する。
また、宅地建物取引業者(報告者)が、ストック住宅について安心R住宅の基準に適合しているか調査し、その結果を記載した書面調査報告書を購入希望者らに提出することで、売買を行う際、上記の基準を満たしているかなどを確認できるようにしている。
なお、同制度は国土交通省が管轄しており、13の登録事業者団体とその加盟企業が運用を行っている。そうしたことから、正式には「特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度」と呼ばれる。
ところで、【表】で22年度実績の内訳を見ると、共同住宅(オレンジ色)が同60.9%増の1,262件となり、戸建住宅(リフォーム済、緑色)も同17.2%増の367件となっていた。戸建住宅(リフォーム提案、水色)は同9.4%減の134件にとどまっていた。
戸建より共同住宅で実績が多いのはスタート当初からで、同制度の大きな課題は戸建の流通量増加である。一方で、消費者のみならず、ストック住宅の売買に携わる不動産事業者にも、まだ制度が十分に認知されていないという側面があり、戸建ストック住宅のさらなる流通促進のためには対応策が求められている状況だ。
【田中 直輝】
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