2024年11月24日( 日 )

紙を中核とする総合商社に成長 コロナ禍でも積極経営でグループ拡大

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(株)網中

紙を中心に幅広いサービスを提供
九州を拠点に東京、大阪にも展開

(株)網中 網中 裕城 社長
(株)網中
網中 裕城 社長

    和用紙の販売店として北九州市でスタートし、今年で設立65年と半世紀以上の社歴を誇る(株)網中。現在では九州を代表する紙の専門商社の1社としての地位を確立しているのみならず、東京、大阪など他地域でも事業を展開している。また、紙業を祖業としつつも関連する幅広いサービスを提供し、現在では紙を中核とする総合商社へと成長を遂げている。

 同社が躍進した理由の1つに、業界の慣行に風穴を開けたことが挙げられる。紙業界ではもともと、決まった商ルートでしか売れない、買わないという独特な縛りがあったというが、同社は1990年代、競争が激化するなか、他社に先駆け、海外メーカーから低廉な紙を買い付けリーズナブルな価格で顧客に提案することを始めた。この取り組みにより、顧客を増やすとともに顧客の反応をフィードバックし続けることで、品質も高めていった。

 そんな同社の強みは紙を中心に幅広い商材を扱っていることであるが、もう1つ特筆すべきことは広大な倉庫群を有していることだろう。全国に7つの倉庫を有し、受注を受けてから迅速かつ大量に配送できる体制を確立している。網中裕城代表取締役社長は今後、東京、大阪を含め各地に倉庫を開設したいと意気込む。

 同社のグループ会社には、事務機器・用品などの販売・卸や学校・病院・官公庁などへのニューオフィスデザインの企画・提案・販売を行うキングテック(株)、紙製品の加工および商品管理と配送業務を担う(株)日映、トータル印刷ソリューションを提供する(株)日報がある。そして2021年に同じく和洋紙の商社である美濃紙業(株)(大阪府東大阪市)から経営権を引き継ぎ、関西地区での基盤を強化した。さらに22年には、シール印刷業の(株)サンコー産業(福岡市南区)から営業権を引き継ぎ、業容を拡大した。同社は特殊な商材を扱い、高品質な商品の小ロット、短納期、多品種同時製作に対応している。

時代の変化に対応して発展
環境負荷の小さい紙製品を提案

 コロナ禍におけるリモートワークの普及や近年のSDGsの意識の高まりにより、紙の消費節約の動きが進み、紙製品を取り巻く事業環境は一見して厳しくなった。しかし、網中社長は、今のところ顧客1人あたりの紙の消費量に大きな変化はないと語る。紙資源節約の潮流はたしかにあるが、「紙=環境負荷が大きい」というわけではない。原材料に関して、プラスチックなどの環境負荷の大きい原材料から紙へと商材を切り替える動きが見られるようになっており、網中社長はこれを同社の事業への追い風にしたいと意欲を示している。

 実際、海外では飲食店などでプラスチックのストロー提供が禁じられるケースも出ており、国内でも大手コーヒーチェーン店などが積極的に紙製ストローへの切り替えを推進している。同様の傾向は皿や容器などにおいても見られる。

 同社が紙製ストローの取り扱いを始めたのは早く、10年以上前という。取扱量は年々増加している。環境保全意識の高まりを受け、顧客に環境負荷の少ない紙製品を提案し、使用してもらうことは、まさにSDGsに資する行為だ。顧客や消費者にとってもより好ましい選択肢の1つであることは間違いない。

 今後は関連して紙を使用する用途がさらに増えていくだろう。網中社長は、パッケージ用の包装資材などに関しても、環境への配慮が顧客の間で高まっており、長期的に見て紙製品への切り替えが進んでいくと述べている。そのような状況に備えて、顧客のニーズに対応するための準備に余念がない。

オフィスリニューアル、研修センター開設 社員が働きやすい環境を整備

本社休憩室
本社休憩室

    網中社長は、「顧客との人間関係が何よりも大切です」と語る。顧客の現状やニーズを丁寧に把握し、自社がどのような提案できるのかを考え、できる限りのことをしようと努めている。こうした積み重ねにより、顧客から「網中ならどんな要望でも対応してくれる、時代の要請に合った商品ラインナップをそろえている」という信頼と評価を築き上げてきた。

 同様に重視するのは社員が働く環境だ。最近では本社および福岡支店のリニューアルを実施した。グループ企業のキングテックがオフィスのデザインの企画・提案を行っており、そこで蓄積されたノウハウが自社オフィスリニューアルに際しても活用され、機能性を高めつつも洗練され開放的な職場環境を整えた。たとえば、リクライニングシートを備えた広い休憩室を設け、休憩時間の制限をなくした。昼休憩で不足するのであれば長く休み、その分ほかの時間帯に業務に当たればそれでよしという柔軟でユニークな制度だ。休憩室は現在では柔軟な働き方により生産性と意欲を高めるうえで大きく貢献している。

 また、22年に「みやこ総合研修センター」(北九州市小倉北区)を開設した。使用されていない住宅の内装・外装をリニューアルし、多目的の総合研修センターとして設計された。懇親会の実施や長期の滞在もできる。リニューアルに際し、室内は懐かしさを感じられるモダンアメリカン風の家具に統一。体を動かすことで斬新なアイデアが生まれてくるとの考えからトレーニングマシンも設置している。庭にはBBQセットを配置し、大人数での懇親会も開催できるようになっている。網中社長は「社員のみならずその家族、お客さまや協力会社の皆様と一緒に利用できれば」と話す。

みやこ総合研修センター
みやこ総合研修センター

 紙はどこにでもあり、私たちの生活や仕事を支えてくれているが、目立つことはあまりない。紙業という、決して華やかではないが社会生活の基盤となる資材を扱う同社。同社にはそうした商材を扱うのにふさわしい真面目な人材が集まっており、それだからこそ社員の自主性を信頼し、委ねられる制度を採用できるのだろう。同社の魅力について、網中氏は「堅実な事業を営んでいること」と話す。新卒採用・終身雇用を維持し、社員の勤続年数は長いが、一方で意欲のある若手の抜擢も進め、時代の潮流に合わせて変化し続けている。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:網中 裕城
所在地:北九州市小倉北区東港2-5-1
設 立:1958年4月
資本金:3,050万円
TEL:093-561-4111
URL:http://www.aminaka-group.co.jp

<RECRUIT> 
募集職種:総合職(営業・事務職)、
     一般職(事務職)
応募資格:2025年3月、大学、大学院、
     短大(専門学校)卒業見込み
採用実績:2024年度/6人
     採用予定:5~10人
問い合わせ先:honsha.soumubu@aminaka-group.co.jp
採用担当:総務部 細村・三浦
URL :http://www.aminaka-group.co.jp/recruit/recruitmain.html


<プロフィール> 
網中 裕城
(あみなか・ひろき)
1964年3月、北九州市生まれ。学卒後、89年に(株)コクヨに入社。91年に網なかに入社、取締役就任。製紙メーカーと紙問屋、取引先とのルーチンな取引慣行があるなかで、いち早く海外メーカーの製品を取り扱い、価格競争力で風穴を開ける。2012年10月に代表取締役社長に就任。

法人名

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