常識を打ち破り新たな商機を見出し、新しい価値を創造する水産業界の雄
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(株)三陽
こだわりのアジフライが示す
新しい価値創造の意義「美味い!」。フンワリとした独特の食感に、思わずそう呟いてしまうのが(株)三陽のアジフライだ。日々の食卓を彩る一品として珍しくない定番料理の1つだ。それだけに何処で食べてもあまり大差はないという印象のアジフライが、なぜここまでおいしく感じられるのか。その理由をたしかめてみれば、さして驚くことではなかった。
量販店などで広く一般的に販売されているアジフライは、ちょっと意外なルートで我々のもとに届けられている。日本国内で収穫したアジをいったん冷凍して中国に送り出し、そこで加工したものを再び国内にもってくるというのだ。そんな面倒なことをなぜやるのか。理由は単純だ。そうすればより安価な製品が出来上がるということらしい。
しかし三陽のアジフライは違う。長崎県松浦で獲れた鮮魚を漁港側の工場で加工し提供する。味や品質にこだわり丁寧につくられ、すべて国内で完結させているから美味いのは当然だ。もちろん価格は多少高くなるだろう。でも、それを高いと思わせない、美味なアジフライが出来上がるのだ。
多くの同業者が本当に求められていることに気づかず決まり切ったやり方を続けているなか、三陽はその常識を打ち破り新たな商機を見出している。着目したいのは、同社がアジフライを通じて世の中に問いかける新しい価値を創造することの意義だ。
常識はずれの奇策実行が
発展の大きなキッカケになるそんな同社の歴史は1991年に始まる。代表取締役・長谷煌一郎氏が、たった1人で興した(株)三陽商店がその前身だ。福岡市鮮魚市場で商売を始めたわけだが、何の後ろ盾ももたない若者が鮮魚市場に分け入るのは並大抵のことではない。まず、魚を仕入れるには買参権という特別な権利が必要だ。水産業界における打出の小槌ともいえる絶対的な既得権だが、当然に後発の長谷氏には遠い存在だ。
そこで彼が知恵に知恵を絞って打った手は、買参権をもった業者から仕入れた魚を関東の小売業者に直接卸していこうという奇策中の奇策である。仲買を通さないから多少高く買った魚でも利益は出る。しかもこのやり方は多大な労力を必要とするから誰も真似はしない。いわば常識はずれの怖いもの知らずの行動だったのだが、この奇策を実行したことが同社発展の大きなキッカケになる。いや、その後の企業としての方向性を決めたといっていいだろう。誰もやらないことをやることで成功への羅針盤を見つけていく。先述のアジフライもまさにその一例だ。
成長を続ける三陽が描く大きな未来
高収益企業を体現し業界を変えてみせるこうして底力をつけた同社は、やがて当初の狙い通りに市場での買参権をあるゆる手段を講じて獲得していくことになるが、そこからの躍進ぶりは圧巻だ。2019年3月には海洋漁業を手がける海興水産(株)をM&Aによりその一員とし、企業基盤をますます堅固なものにした。
アジフライ、アジフィレ、サバフィレ、いかしゅうまいといった水産加工品を主に取り扱うが、アジフライを例に挙げたように商品づくりに徹底的にこだわることで他社を引き離していく。たとえば超高速冷凍技術を取り入れ最新の商品開発を実現するほか、加工過程で生じる魚の不要部位を養殖用のエサとして商品化するなど、旧態依然とした業界から見ればどれも斬新と思える取り組みを実行していく。
以来、商品に付加価値を加え高収益を実現するこれらの手法には、業界全体が注目している。同社が如何に業界の台風の目になっているかは想像に難くない。「挑戦こそ我が社のモットーです。そして他社がやらないことを率先して行うのは、立ち止まっていては成長はないという考えが背景にあります。水産業を今以上に陽のあたる産業にしたい。社員が一丸となって目指すのはそこです。もっともっと拡大できる業界であることを私たちが身をもって示したい。高収益企業を体現することで業界全体を変えてみせます」と長谷氏は力強く語る。
三陽グループには、アジなどの加工をする(株)ウエストジャパンフーヅ、いかしゅうまいの製造などを手がける(株)マルサンフーズ、養殖業の(株)シイヤマ水産、グループ不動産の管理などを手がける(株)サンヨウサービス、水産物の加工販売の(株)サンヨウ、水産物の輸出入の(株)凰陽、マグロの養殖を手がける(株)西山水産、先述の海興水産(株)、さらに今年4月に傘下に納めた水産加工会社の(有)丸二永光水産(北海道枝幸町)が顔を並べる。これら10社が 個々の強みを生かし有機的に結びつくことで、単体ではできないビジネスを一体になって推進していることは強さの根幹だ。また、17年には業界大手である東証一部上場の東都水産(株)と連携・協業を実現。そして現在では、さらにビジネスの機会を拡大しようと海外に目を向け、すでに東南アジアの国々への展開を視野に入れている。
川上から川下まで一気通貫
鮮魚を海から街に届けるB to Cを実現直近の話題では、超大型の活魚艙を有する神陽丸を新たに建造した。活魚艙には収穫したアジ、サバを積み込めるがこれができるのは国内では神陽丸だけだという。同社が保有する漁船は5隻になるが、この大漁船団が大海原に繰り出し漁に勤しむ姿は、さぞかし勇ましいことだろう。
また、暮らしに身近な話題では2022年2月から冷凍アジフライ自販機を福岡市地下鉄駅各所に設置したことでマスコミにも取り上げられ連日売り切れが続出するなど、アジフライは想像を超える人気を博している。また、三陽食堂を本社1階でアンテナショップ的に開店し、アジフライ定食などを提供して話題を集めているが、この食堂についても来る6月8日博多駅地下街に新店舗がオープンするとのことで待ち遠しい。
まさに長谷氏が唱える一気通貫の言葉が具体的になってきたということか。若い社員が多いことが同社の強みだと語る長谷氏。社長の自分がしっかりと方向を示せばきっとうまくいくと自信を覗かせる。三陽ならきっと大きな未来が描ける。そして活躍の場はさらに拡がる。その無限の可能性に社員たちの期待も膨らむ。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:長谷 煌一郎
所在地:福岡市中央区長浜2-3-6 三陽長浜ビル3F
設 立:1992年4月
資本金:1,000万円
TEL:092-718-7834
URL:https://sanyo-jp.co.jp<RECRUIT>
募集職種:本社・各営業所および
グループ各社 営業員
応募資格:新卒・中途、経験問わず、要普通免許
採用実績:2023年度/30人
問合せ先:092-718-7834
採用担当:人事担当者
URL :https://sanyo-jp.co.jp/recruitment/
<プロフィール>
長谷 煌一郎(ながたに・こういちろう)
鮮魚市場でのアルバイトを通し水産物卸売業界に興味をもつ。大学卒業後水産会社に入社。1991年に独立し三陽商店を設立、2019年に漁獲から製造販売まで一貫体制の三陽グループをつくり上げる。法人名
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