時代の変化に適応し続け、エネルギーを軸に地域の人々の暮らしを支える
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高松産業(株)
社員が心にゆとりをもてる経営を
高松産業(株)は、1934年の創業以来、北九州に本社を置き、九州一円で約3万軒を対象にプロパンガス・都市ガスを供給するエネルギー事業を展開している。また、エネルギーのみならず、土木・建設など人々の生活に関わるインフラ整備を専門とする高松産業グループの中核企業でもある。
同グループはエネルギー総合商社の高松産業のほか、総合建設業の東洋建設工業(株)、ガス販売を主に手がける高松ガス(株)および宇島瓦斯(株)、不動産管理の(株)光陽、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーを扱う大鵬鉱産(株)の6社で形成されている。
現在、同グループは次代への継承の移行期にあり、住吉弘徳代表の子息の弘太郎高松産業常務取締役が父の築いた事業を承継すべく日々奮戦している。「世の中の移り変わりや今の人たちの志向などを踏まえて会社をどのような方向にもっていくべきか考えてきました」「立場が変わると社員として見ていた時とは見える景色も変わってきます。広く深く観察しながら取り組んでいきたいと考えております」(住吉常務)。
住吉常務の世代はバブル崩壊後のいわゆる就職氷河期世代にあたり、新卒採用が抑制された時期であった。そのため同年代で企業の管理職などに就いている者は少ない。住吉常務はその弊害を痛切に感じ、従業員の立場や心情を人一倍理解しているつもりだ。「入社以来、ずっと社員と一緒に同じ釜の飯を食べてきました。人はゆとりがないとほかの人に優しくなれないし、いい仕事もできません。社員が心にゆとりをもてるようにしたいと思っています」と語る。
また、日本企業全体が世代交代の時期にきていると実感しており、同世代の経営者同士が思いを打ち明けたり、切磋琢磨をしたりできる場をつくっていきたいとの想いもっている。「事業の承継を予定している同族企業は多くあり、皆がもっと地に足をつけて踏ん張っていくという士気を高めていければ、地域経済も底上げしていけると思います」(住吉常務)。
志をもった人材を育てていきたい
同グループの平均年齢は50代。同グループの中核企業の1社である東洋建設工業が平均年齢を引き上げているが、部門ごとにみると、たとえばエンドユーザー向けにガス事業を行う部門では、平均年齢は30代と若い。同グループは中途採用をメインに行ってきたが、現在は新卒採用も積極的に推し進めている。
「私が入社してから新卒採用を行うようになりました。せっかく採用した若い人材が辞めないような仕組みをつくり、定着率を上げるとともに志をもった人材を育てていきたいです」(住吉常務)。
高松産業は、地域のエネルギー関連事業を担っているが、再生可能エネルギーの急速な普及の波にうまく乗るかたちで事業展開してきた。再エネブームの以前から、グループで太陽光発電やエネファームなどエコエネルギーへの取り組みをいち早くスタートさせている。
時代が求めるニーズに沿った多彩な事業展開
同グループの起源は住吉常務の曾祖父が始めた土木業。石炭、石油、ガスと日本経済が経験したエネルギーシフトに対応して事業を展開しながら、昭和・平成・令和と3つの時代にわたって地域で暮らす人たちと経済を支えてきた。伝統企業でありながら常に時代への適応と挑戦を続けてきたのである。
同グループのエネルギー事業部は、それぞれLPガス、都市ガスの供給を担う高松産業および高松ガスの2社で構成されている。公共性の高いエネルギー事業者として「安全・安心・安定」を第一に自社での配送基地の運営管理を行い、自社直轄での配送業務にこだわってきた。ガス供給をはじめ、ガス機器や住宅設備機器の販売、リフォーム、オール電化・太陽光発電・エネファーム等の販売、さらには家庭向け家電製品の販売や防災商品、ハウスクリーニング、地元食材の販売までを展開している。
「時代に合った事業展開を進めてきた」と住吉常務が語るように、同グループは主業であるエネルギー関連事業ばかりでなく、宅配事業との協業、空気清浄機などの家電販売、住宅リフォーム事業など、時代が求めるニーズに沿った多彩な事業を展開してきた。
住宅リフォーム事業では、同社の従来からの顧客であるシニア層中心のガスユーザーに向けて住宅リフォーム・リノベーションを提案し、実績を残している。生花店のデザイン・設計・改装やファーストフード店の外装一新などの規模の大きい工事から、戸建住宅のリフォームやガーデンルームの増築まで請け負う。小さなものでは最短30分で終わるキッチン水栓の取り換えにも対応し、顧客が求めるニーズに最大限応えることで信頼を得てきた。
同グループはエネルギー以外にも一般ユーザーになじみ深い事業をいくつか手がけている。複合商業施設「ライフガーデン水巻」を2019年10月、同社が所有する水巻町の敷地に開業させた。同施設には「コメダ珈琲」「ダイレックス」「ダイソー」「西松屋」「ケーズデンキ」など多くの飲食・小売店舗が入居している。これは大和ハウスグループが手がける事業であるが、高松産業は地権者として携わっている。
また、「博多久松」ブランドで人気を博しているおせちセットを取り扱うなど、食料品の販売事業も手がけている。これらはエネルギー供給を軸に、地域の生活インフラ全般を広く支えていこうという試みであり、長年世話になった地域への感謝の思いをかたちに表したものといえるだろう。
「お客様バスツアー」や「わくわくクッキング」など、自社で企画・開催から実施までを手がける顧客参加型イベントも好評だ。顧客に楽しんでもらうだけでなく、顧客同士が交流を楽しむ場にもなっている。
住吉常務は時には代表である父と意見の相違もあったというが、その際も社員と一緒に乗り越えてきたという自負がある。今後の事業構想について「まったく異なる分野に参入することも考えましたが、それは険しい道ですから、これまで積み上げた事業の周辺を埋めていくよう模索していきたい」という。これは決して現状維持ではなく、創業以来、同グループが培ってきた営業力や、蓄積された従業員の知見を生かしながら、チャレンジしていくものだ。時代の変化に敏感であり、志をもった人材を育てる高松産業で自分を磨くことは、人生にとって何よりの財産になるだろう。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:住吉 弘徳
所在地:福岡県遠賀郡水巻町吉田東1-1-1
設 立:1954年3月
資本金:5,000万円
TEL:093-555-5250
URL:https://www.takamatsu-group.co.jp
<プロフィール>
住吉 弘太郎(すみよし・こうたろう)
1975年4月生まれ。福岡県水巻町出身。高松産業(株)の常務取締役を務める。趣味はバンド活動法人名
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