重要性が増している半導体パッケージ技術(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏産業の競争力を左右する半導体
半導体は私たちの暮らしには欠かせない存在である。身近な例でいけば、炊飯器でご飯が美味しく炊けるのは、半導体で電気を細かくコントロールしているからだ。実際私たちはパソコンやスマートフォン、ゲーム機などの電化製品を始め、銀行のATMや、電車などの交通、インターネットや通信などの社会インフラシステムの機器制御などに、半導体を活用している。今や、私たちの生活は半導体なしでは成り立たない状態であるが、技術が発達すればするほど半導体の重要性は高まり、その結果として需要もますます増加することが予想される。すべてのモノがインターネットにつながる「Iot」やAI(人工知能)、ビッグデータやクラウドサービス、テレワークや電気自動車(EV)の普及など、未来を語る上で欠かせない先端技術の実現には、必ず半導体がなくてはならない。半導体はこのように産業の競争力を左右する主役で、半導体の覇権をめぐる米なかの衝突も激しさを増している。
半導体製造の「後工程」とは
半導体の製造工程は、半導体の回路部分をつくる「前工程」と、ウェハから回路部分を切り取って基板部分を取り付ける「後工程」の2段階に分けられている。これまで半導体の製造工程では、いかに集積度の高いLSI(大規模集積回路)をつくることができるか、「前工程」が重視されていた。集積度の高さは半導体の性能と直結するからだ。
ところが、近年半導体の性能向上に向け、製造プロセスの「後工程」の重要性が高まっている。なぜかというと、回路を形成する「前工程」の技術進化はハードルが上がり、複数のチップを積み重ねて性能を高めるなど、別の角度から技術進化を進める必要性が出てきたためだ。その結果、「後工程」の次世代技術の開発に半導体製造会社は注力している。
今までの半導体技術の進化はどちらかというと、電子回路の線幅を狭め、集積度を高める「微細化」にまい進してきた。だが、微細化は限界に達しつつある。回路の寸法はすでにウイルスの10分の1以下のレベルにまで極小化されている。しかし、微細化にはそもそもの原子の大きさという制約もある。微細化による開発や量産コストも大きく膨らみ、性能向上は良いものの、価格が高くなり過ぎる事態が生じつつある。一方でスマートフォンなどの最終製品には半導体のさらなる能力向上が求められている。このため技術限界に達しつつある微細化よりも、「後工程」の技術開発で突破口を開こうとする動きが活発化しているのだ。
なかでも現在トレンドとなっている技術の1つがチップレット。従来は1つのチップ上に混載していたさまざまな機能を、別々のチップでつくり分け、ブロック玩具のように組み合わせて、あたかも1つのチップのように動かす。このチップレットには、後工程の技術が要求される。半導体製造の工程のなかで後工程の比率は約15%(165億ドル)にとどまり、80%以上を前工程が占めていた。ところが、その後工程にスポットライトが当たっている。
(つづく)
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