重要性が増している半導体パッケージ技術(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏後工程が注目されるようになった背景
今まで後工程のパッケージは、前工程に比べて市場規模も小さく、それほど注目されるような技術ではなかった。しかし、現在は状況が様変わりした。微細化技術は壁にぶつかり、集積度を上げるのが難しく、コストも高くなったためだ。それで、複数のチップを一緒に配置したり、チップを縦に積層したりすることで、半導体の性能を高めるパッケージ技術が注目されている。
もう1つは、ファウンドリ市場の拡大が影響している。市場調査会社ICインサイトでは2022年の世界のファウンドリ市場規模は、778億ドルに達したとされる。前年より20%ほど成長したことになる。台湾のTSMCの主導により、このようにファウンドリ市場が成長したことによって、生産されたチップを使用できるようにする後工程のパッケージ市場も共に成長するようになった。回路を保護し、チップが使用できるようにするパッケージは、以前に増して重要性が増加したわけだ。それに既存の後工程では樹脂でチップを固定させているが、チップが複雑になることによって、発熱の問題なども発生している。そのような問題を新しいパッケージ技術で解決しようとする試みが活発に行われている。
最新パッケージ技術のメリットは
従来のパッケージでは、基板の上に、切断してきたチップを乗せ、銅線で繋いで樹脂で固定させる方法でパッケージ化していた。この過程で、多くの銅線がどうしてもゲジゲジのように外にはみ出るようになる。しかし、最近のパッケージ技術では、基板と銅線なしにチップの下部に金属膜をつくり、レーザーでそこに回路を印刷し、微細な突起で電気信号をやりとりする。基板と銅線がなくなったことによって、半導体が小型化、軽量化できるし、見栄えもよくなる。それに複雑なゲジゲジがなくなるので、発熱問題も改善される。このようにパッケージの新技術が開発され、業界では導入が進んでいる。
それは同時に新しい製造装置の需要を意味することにもなる。日本は製造装置や素材に強みがあるので、この分野に強い関心をもって取り組んでいる。そんな中、高度なパッケージングの1つとして注目されているのがウェハレベル・パッケージ(WLP)で、ダイ※がウェハ上にある状態でパッケージングする方法である。その他にも、チップを垂直に積層してパッケージする3Dパッケージングも注目されている。これは2種類以上のチップを1つのパッケージにまとめる手法で、半導体チップの小型化が可能になる技術である。ウェハレベル・パッケージの1種であるFOWLP(Fan-Out ウェハレベル・パッケージ)は基板や銅線なしにウェハ上にパッケージをする。ただし、ウェハ上につくられたチップを切り出すダイシング過程がある。切断したチップをまたパネルに合わせて配置し、パッケージ化を進める。
あまり専門的な話になるため、これ以上深堀しはしないが、半導体業界は、後工程の技術進化に向けしのぎを削っている。ファウンドリ市場をリードしているTSMCはパッケージ技術においても最先端を走っていて、それが競争の発端になっているとも言われている。
※ダイ:円盤の半導体素材に回路パターンが焼き付けられた後、さいの目状に切り分けられた1枚1枚のチップのこと。 ^
(了)
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