2024年12月26日( 木 )

公取委「海苔生産者の自由取引を阻害」 佐賀県有明海漁協と熊本県漁協に排除命令

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 15日、公正取引委員会(以下、公取委)は、佐賀県有明海漁業協同組合(佐賀市)と熊本県漁業協同組合連合会(熊本市)が、両漁協管内の海苔生産者の取引を制限する独禁法違反(不公正な取引方法)にあたる行為を行っていたとして、両漁協に対して排除措置命令を出した。

誓約書と浜買い禁止

 公取委によると、両漁連は生産者に対して、製品を組合に出荷する旨の誓約書を提示し、これに署名または押印して漁協に提出することを求めるなどして、生産者の自由な取引を制限していた。

 たとえば、佐賀県有明海漁協は、「製造した乾海苔は、全量組合に出荷するよう努めます。」という規定を含む「乾海苔共販にかかる誓約書」を生産者に提示していた。また、熊本県漁連は、「製品については全量組合出荷を前提とし、系統共販体制を遵守します。」という規定を含む「誓約書」を提示していた。

 また両漁協はこれらの取引制限の実効性を高める行為として、漁協が実施する入札に参加する海苔製品の製造・販売業者に対して、海苔生産者から直接買い付ける行為(浜買い)を行わないことを求めていた

共販と系統外出荷

 また、公取委は、両漁協管内の海苔生産者にとって両漁協が運営する「共販※」が重要な販路となっている一方で、生産者のなかには、共販以外の方法で出荷(系統外出荷)する方が多くの販売代金を得られる場合があるとして、共販だけでなく系統外出荷を行いたいという意向を有している生産者がいるとして、両漁協の行為が自由な取引を制限する行為にあたると見なした。

※海苔生産者が生産した乾海苔について、検査や等級付けを行ったうえで、漁協などが実施する入札により、海苔製品の製造業者または販売業者に販売する仕組み。

両漁協は争う姿勢

 これを受けて両漁協は同日、排除措置命令の取り消しを求めて提訴する方針を明らかにした。

 海苔の取引をめぐっては、福岡有明海漁連(福岡県柳川市)も公取委の検査を受け、昨年、独禁法上の「確約手続き」に基づく改善計画を提出して認定されている。

【寺村朋輝】

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