2024年11月28日( 木 )

インバウンドの対照的な行動 湯布院と高千穂

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湯布院は学生団体旅行そのもの

 湯布院のお客の大半はアジア人(韓国・台湾主体)である。相変わらずお客の数は減ることはない。しかし、あまりの来客数の多さに、地域住民たちの不満が高まりつつある。日常生活に支障がでてストレスが溜まり始めている。「行政のしっかりとした指導の下、住民たちの暮らしの静寂さを取り戻していただきたい」という声が高まりつつある。そのことがこの論考の本題ではない。

 アジア人客の大半は1泊泊まりである。由布院メイン通りを歩くことで買い物をしてくれるのでありがたいが、ある種の物見遊山の行為といえる。そして金鱗湖から由布岳を眺めて「すばらしい山だな」とお互い感激し合う。それで終わり。夕食は繁華街でお金を落としてくれるからサンキューである。一晩終えれば次は別府観光へと旅立つ。まさしく中学生の団体旅行と同じ行動パターンである。住民たちが文句を言いたくなる気持ちはわかる。「この自然環境抜群の由布院では、静寂さを保持ながら堪能していただきたい」と要望したいのである。

高千穂は白人の滞在型主体の見本

高千穂 イメージ    宮崎県・高千穂は、歴史の資産が固まっている由緒ある地域だ。一説によると「神さまが高千穂に降臨されて人になり、この場所から人さまの暮らしが始まった」とされる。周辺には神社および神々が宿る雰囲気の場所が数多くある。ところが残念ながら最近まではこの歴史資産の活用が未熟であった。本格的なホテルもなく、高千穂観光の実体は「通過点」に過ぎなかった。

 ゴールデンウィーク中に高千穂を訪ねた。驚いた! 白人客でいっぱいなのである。地元の友人に聞いてみた。「観光ブームの波が押し寄せてきたのは8年前からだと思う。また宮崎資本が100室のホテルをオープンしてくれたので流れがチェンジした。観光客が宿泊してくれるようになったことは高千穂にとって本当に嬉しいことであった」という解説を受けた。

 「なぜ白人が多いのか?」と質問を投げた。まず、①神秘に富んだ高千穂のことが海外雑誌に連載された。この時点から白人観光客がポツポツと目立ち始めた。②彼らの行動は滞在型である。1つの神社でも1日中回り、参加者たちで議論を繰り返す。神社には非常に関心を示すことを知ってこちらも驚いた。③また、行動的であることも知った。夏場までいかずとも暖かい気温のときには5~7mの高さの岩場から飛び込むのである。冬場は隣の町にスキー場がある。そこでスキーを楽しんでいるのだ。④彼らは最低3泊はしてくれるからワンダフル、ワンダフル。白人客は大いに感謝される存在である。

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