ステーブルコインは暗号資産の第2のブームを引き起こす(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏ステーブルコインの特徴と可能性
ステーブルコインは、どのような特徴があるのかをみてみよう。1つ目の特徴は、価格の安定性によるリスクの回避である。ビットコインのような暗号資産は価格変動が激しいため、価格が突然下落して資産が急激に目減りするリスクを抱えている。そのようなリスクを回避するため、取引をしない間は、ステーブルコインに交換して保有すれば、価格が急変動するリスクを回避できる。
2つ目の特徴は、ステーブルコインは送金にも向いている点だ。国境を越えて金融機関を介さず、いつでも自由かつ迅速に送金できるのはステーブルコインの特徴である。また金融機関の介在なしに相手に直接送る送金なので、送金手数料を抑えるメリットもある。金額の制限や資金の使途などを問われることもないので、ステーブルコインを活用した送金は急激に増加している。
しかし、一方で、マネーロンダリングや不法送金にたいする懸念があることも事実である。このような問題は、これからも解決方法を模索していく必要があるだろう。さらに、ステーブルコインにスマートコントラクト(契約履行管理の自動化システム)を搭載すれば、特定の条件に基づいた決済を自動で行うこともできる。
このような特徴以外にも、現実的にステーブルコインは米ドルが基軸通貨としての地位を維持するのにも貢献している。ステーブルコイン発行企業は、連動資産のドルをそのまま保有しても何の利益も発生しないので、利益を発生させるため、国債を購入しているからだ。国債の買い手が減少しているなかで、ステーブルコインは国債の消化に寄与しているわけだ。
それに、今回テザー社の業績発表により、ステーブルコインビジネスの経済性もわかってきた。テザー社が従業員数125人で62億ドルの利益を出しているのに対し、ゴールドマンサックスは従業員数4万5,000人で85億ドルの利益しか出していない。今までみたようにステーブルコインは、数年後には支払いのかなり部分を占める可能性もあるという。さらに、ステーブルコインは大規模なB2B取引に向いているため、貿易金融の用途や海外のステーブルコインと連動した信託サービスなども登場するだろう。ステーブルコイン市場規模は、現在の1,250億ドル(約17兆8,000億円)から今後5年間で約2兆8,000億ドルに成長するという報告書もある。
ステーブルコインの課題
ステーブルコインは、法定通貨や資産に連動して価値を安定させる仕組みであるため、想定外の事態が生じて価値を維持できなくなるリスクはゼロではない。ステーブルコイン発行企業の経営が悪化したり、何らかのトラブルが発生したりした場合、その価値が急激に変動する可能性がある。したがって、発行会社には透明性、リスク管理、適切な管理体制の整備が求められる。
(了)
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