2024年11月26日( 火 )

飯田建設社長に返り咲きの宮木氏、「社長からの御恩を結実させる」と宣誓

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土木業界に名門の名を残してきた

飯田建設(株) 宮木義高社長
飯田建設(株) 宮木義高社長

    飯田建設(株)の歴史を遡ると個人創業したのが1954年で、通算70年の業歴である。同社が一目を置かれたのは地元の業者としては国からの受注が際立って多かったためだ。当時の建設省(現:国土交通省)、日本道路公団(現:NEXCO)、農林水産省発注の九州一円の工事をこなしてきた。ピーク時には九州一円(沖縄を除く)に営業所を設置していた。同社の宮木義高社長は「若い時には九州一円の現場回りに明け暮れていた」と回顧する。

 国からの受注に強いということは、地元業者との関係が疎遠気味になりやすい。「飯田さんはどうして国と強いパイプをもっているのか」と妬む同業者もいたが、腹を割って相談に行くことができない。昔、創業者は筆者に次のように漏らしたことがある。「相談に来れば率直に手の内は伝授したのであるが」と。

 最盛期は完工高60億円に迫っていた。この孤高の飯田建設が絶頂期の1981年に宮木社長は入社した。出身は日田だ。地元の名門・日田林工高校卒。同期の友人たちの多くは福岡の同業の会社に就職しており、各企業の幹部のポストに就いている者も多い。

親会社倒産でピンチ

 飯田建設にとって、当時の親会社・飯田産業(本社:福岡市博多区)のバックアップは力強かった。この親会社が90年12月に倒産したのである。信用面では同社にとって手痛い打撃を受けたことになる。さらに現住所に社屋を建てたことで一挙に借入過多という財務悪化を招いた。

先輩たちが次期社長要請を蹴って退社相次ぐ

 筆者は当時70歳を過ぎた社長に「どうして後任に託さないのか」と安易な批判を行ったことがある。実際にはこの社長は宮木社長の先輩たちに「社長に就いてくれ」と真剣に懇願し続けていたとか。誰も承諾しなかったのは多額の借入保証人が条件であったからである。

 数年して宮木氏に社長就任のお鉢が回ってきたのである。保証額はかなり減っていたが、「もうここまできて自分しかいないのなら引き受けよう」と決断した。2014年、52歳の時である。知る限り日田出身者には責任感の強い人たちが目立つ。男気の塊のような宮木氏には率直に言って兜を脱ぐ思いだ。

サンコーHDグループに入る

 14年に社長に就任したころから水面下で会社の再建交渉が進んでいたという。飯田建設は16年11月にサンコービルドを核とするHDグループの一員になった。現在、同社の株主構成を見るとサンコーホールディングスが100%所有している。2年間は継続して社長として采配を続けたが、18年にHDグループから副社長として移籍していた村山雅秀氏が社長に就任し、宮木氏には専務のポストが与えられた。

 専務として6年間の実績を踏まえて総括する。(1)まず銀行から絶大な信用が得られた。飯田建設単独の時には毎月、銀行に資金繰り報告に行っていたが「喧しく絞られた」こともあった。ところがグループに入ってからは銀行への気兼ねが必要ではなくなった。効率が良くなった。(2)6年間で社風が変わった。一言でいえば社員が皆公明正大になったのだ。情報共有が進んだ。評価制度も客観的なもので、社員たちも納得してくれている(昇給にも反映された)。となれば社員たちが大いに燃え上がって頑張るのは必然だ。

2回目の社長返り咲きでの宣誓

 6年間指揮した村山社長が、この5月で役職定年を迎え退任した。宮木社長はこの期間の会社が進化した実態を下記のようにまとめる。

 「組織の原理原則を貫徹する習慣が定着した。それぞれが自分の役割を自力で思考し実践するようになった。村山前社長には感謝している。10年前、社長に就く時には悲壮な覚悟をしていたというのが本音であった。この度、2回目の社長に就任する機会をいただいたが、総合的に内容が良くなっており、さらなる質的転換をはたすのは当然の責務と考えている」と自身の役割への認識を披露する。

完工高増へのミッション

1:私が社長として采配できる期間、毎年少しでもステップアップしていくことに努めます。そして結果で社員の皆さん、サンコーHDの方々、お客さんに喜ばれるよう邁進します。

2:量拡大(完工高増)を至上主義にするわけでは決してないですが、社員の皆さんに常に成長を実感してもらうためには完工高の伸長が必要です。その為には質的転換が不可欠です。

3:達成するのは容易ではありませんが、不可能ではありません。まずは人材育成が要となります。人材獲得競争は大手との戦いになります。「変革・成長する組織」であることをアピールしなければ若手の人材の確保は難しいです。

4:受注を増やすためには、やはり自社工法の磨きに一段と注力することが必要であると認識しています。官公庁のニーズを先取りすることが肝要ですが、たとえば管更生事業に注力すべきです。当社にはインシチュフォーム(INS)工法がありますが、一段と性能をアップさせることが勝負の分かれ目になります。

 24年5月期決算の売上は14億1,300万円の見込みです(前期は12億4,100万円)。
      〃  経常利益は6,200万円の見込みです(前期は5,600万円)。

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