待望のイーサリアム現物ETFの取引開始(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏米SEC、ビットコインに次いで
イーサリアムの現物ETFを承認ETFとは、Exchange Traded Funds(上場投資信託)のことで、株式や債券、金や石油といった、さまざまな資産の価格変動に連動する投資ファンドを指す。ETFは通常の株式同様、証券取引所で売買できる。ETFを利用すると、直接資産を所有することなく、その資産に対する相場の動きに投資することができる。資産運用会社としては、新たな手数料収入が確保できるし、投資家は暗号資産を保有しなくて済む。資産運用会社は価格変動のベースになる資産を保有しないといけないので、ETFの承認は、暗号資産市場の拡大につながる。
今回、米国証券取引委員会(SEC)は暗号資産であるイーサリアムの価格変動に連動した現物ETFの取引を承認した。今年1月のビットコインETFに続く承認で、暗号資産が投資対象の1つとして金融市場で認められつつあると言えるだろう。
資産運用会社により、機関投資家の資金が暗号資産市場に流入し、暗号資産の価格を押し上げることが期待されている。そのような状況下、ニューヨーク証券取引所などでブラックロックなど運用会社8社が運用する9銘柄のETFの取引が開始された。イーサリアムETFには23日、1億6,600万ドルの純流入があったものの、これと言った目立った値動きはなかった。
今年1月に承認されたビットコインの場合、その後、約6カ月間で、170億ドルの資金流入があった。現在のイーサリアム現物市場はビットコイン市場の3分の1以下であることを考えると、イーサリアムにも今後6カ月間で、45~65億ドルの資金流入が予想される。その一方でイーサリアムの時価総額は約4,000億ドルで、ビットコインのような資金流入があったとしても、その金額は市場全体の4%に過ぎず、市場を引っ張っていくには限界があるとの指摘もある。
イーサリアムの特徴
イーサリアムは、スマートコントラクトという新しい機能を備え、アルトコイン最大の時価総額を誇る暗号資産になった。その結果、多くのユーザーと分散型アプリケーション、巨額のDeFi市場をもつブロックチェーンとなっている。
イーサリアムはスマートコントラクトを利用して、トークンの交換、融資、デジタル身分証など、さまざまなサービスを展開している。VanEckによれば、暗号資産のなかで一番大きな経済圏の構築に成功したイーサリアムは、アクティブユーザーが月間2,000万、決済総額は約4兆ドルで、ステーブルコイン転送総額は5兆5,000億ドル(2023年5月~24年5月)となっている。
イーサリアム上で行われるトランザクションやスマートコントラクトの実行によって生成される手数料は、年間ベースで28億ドル(4,400億円)に達する。また、アップグレードによって作業証明(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に転換したのも大きな発展である。
このアップグレードによって、エネルギー消費は99%以上削減でき、暗号資産が抱えている課題の1つを解決したことになる。NFT、DeFi(分散型金融)など多くの領域で利用されているイーサリアムだが、22年の「テラ」暴落とFTXの破産によって大きなダメージを受けたことも事実である。その後、分散金融市場は十分に回復しておらず、NFTも成長どころか、下降線をたどっている。
イーサリアムは今後、現物資産トークン(RWA)に利用される可能性が高いが、まだ市場は初期の段階にある。イーサリアムの過去最高値は、21年11月に記録した4,878ドルであり、資金流入によってこれを更新しようとすると、現在の価格から約30%の上昇が必要となる。資金の流入次第では、その可能性がないわけではないが、資金流入額が市場の期待を下回れば、価格の下落もあり得る。
(つづく)
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