利用が拡大しているステーブルコイン(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏利便性を高めるために誕生したが
ステーブルコインは変動の激しい暗号通貨の価格変動を回避するために生まれたものだが、現在はその用途が拡大している。フィリピンやベトナムなど東南アジアの国々では、ステーブルコインは国際送金の手段として利用されている。外国に出稼ぎに行って稼いだお金を家族に送金する際、以前は銀行を利用していた。しかし、銀行の場合、送金にかかる時間が1週間前後となるし、送金手数料も10%前後とかなり高い。また、銀行口座をもっていない人も多い。そのような人たちは、暗号通貨取引所でUSDTを購入して送金すると、数分以内に送金ができるだけでなく、手数料も10分の1以下になる。送金だけではない。少額の貿易の場合、L/C(信用状)を開設すると、多くの費用が発生し、取引が成立しにくくなるが、ステーブルコインを使うと、コストがぐっと下がるため、貿易においてもステーブルコインの利用が徐々に増加している。
ステーブルコインはアフリカなどではかなり普及しており、暗号通貨取引の約43%がステーブルコインで占められるほど、利用が増加している。また、銀行経由で資金移動しようとすると、資金の出所や使途など、手続きがかなり複雑で、課税対象にもなるが、銀行を経由せず、資金を外国に移動できるもう1つの選択しとしてもステーブルコインは利用されている。
今後の課題は
先ほどステーブルコインの発行会社は裏付け資産として大量の米国債を保有していることにふれた。万が一、市場の変動でステーブルコインの発行会社が国債を売却することになった場合、国債市場に動揺を起こすことになりかねない。暗号通貨市場の変動性が金融市場に衝撃を与えることにならないか、金融当局は神経をとがらせている。
政府や金融当局にとって、ステーブルコインの普及は市場管理においてかなりの負担になる。ステーブルコインでのやりとりは、貿易の統計に入らない可能性もあり、為替変動などのリスク管理に死角が存在するようになるからだ。経済危機が起こると、資金が急激に外国に流出しやすくなるなど、ステーブルコインによる市場の不安定性を懸念する専門家も多い。
ステーブルコインは発展途上で、今後このような課題を乗り越えてさらに普及するのか、それとも各国政府の規制で普及が抑制されるのか判断ができない。しかし、暗号通貨のなかでは最も需要が多いため、ステーブルコインは用途を広げながら普及するのではないかと見る意見が多いようだ。とてもシンプルなビジネスモデルで多額の利益を上げているUSDTの行方に注目が集まっている。
(了)
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