雨後の筍のように韓国で増え続けるコーヒーチェーン店(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
世界貿易市場で、石油の次に多く取引されているのは、実はコーヒーである。このようにコーヒーは、現代人の生活のなかに深く溶け込んでいる。とくに韓国では、食事代よりコーヒー代のほうが高い場合もよくあり、コーヒーの消費は増え続けている。なぜ人々はこれほどまでにコーヒーを愛し、またコーヒーチェーン店は増え続けているだろうか。
今回は、韓国のコーヒー市場で、今何が起こっているのかを取り上げて見よう。
コーヒーは、まずコーヒーノキから収穫した生豆を、加工の過程で焙煎(ロースト)する。生豆を焙煎することによって、芳香や苦味、酸味などを出すためだ。焙煎したコーヒー豆を1種類、または2つ以上の種類を混ぜて抽出すると、コーヒーという飲料が生まれる。
コーヒー豆が初めて発見されたのは、6~7世紀頃と言われている。コーヒー豆は、最初は食用として使われ、その次は酒として、それから胃の薬、頭痛薬、心臓の薬として使われていた。コーヒーはそのような過程を経て、現在のような飲料として定着している。
コーヒー文化は最初ヨーロッパで広がり、東洋においては、最初にコーヒーが伝わったのは日本だった。東京に最初のコーヒーショップが誕生したのは、1888年らしい。韓国の場合は、日本より少し遅れてコーヒーが伝わったようで、歴史的な記録によると、初代大韓帝国の皇帝である高宗(コジョン)は、コーヒーを飲んでいたと記録がある。
その後、植民地時代にコーヒーショップの前身である「茶房(ダバン)」というものが、いくつかできた。そこは芸術人、文化人などが集まる交流の場であった。その後も茶房は、韓国では長い間お見合いの場所やデートの空間として、それから音楽などを鑑賞するところとして愛されていた。茶房では、マダムとお茶を運ぶ従業員であるレジがいて、今のコーヒーチェーン店のようなセルフ式ではなかった。茶房は時間を潰したり、くつろいだりする空間でもあった。ところで、韓国にコーヒーが本格的に普及したのは、朝鮮戦争後に韓国に駐屯した米軍のPX(米軍基地内にある売店)から流出したものがきっかけである。もちろんこのときのコーヒーは、缶コーヒーなどのインスタントコーヒーである。
この影響のせいなのか、韓国では、長い間コーヒーといえば、インスタントコーヒーがメインであった。今では日本でスティックコーヒーと呼ばれ、よく見かけるようになった「コーヒーミックス」は、韓国の東西食品が発明したヒット商品である。インスタントコーヒー15%に、クリーム30%、砂糖55%を配合したもので、これにお湯があれば済む便利なものであった。これは、コーヒー大衆化の起爆剤になった。
しかし、現在ではインスタントコーヒーは減少し、コーヒーチェーン店などが急増。淹れたてコーヒーが最も愛されるようになっている。統計によると、2007年から14年までの間で、コーヒー市場自体は年49%の驚くべき成長を遂げている。ところが、インスタントコーヒーの市場シェアは、53.7%(07年)から33.7%(14年)に減少。その反面、コーヒーチェーン店の市場シェアは、28%(07年)から46.8%(14年)へと増加している。
(つづく)
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