2024年12月24日( 火 )

下関ゴルフ倶楽部~前代未聞の定時総会招集通知(3)

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松林と海に囲まれた1番ホール(PAR/5)

 経営側のあまりにも高圧的な態度に対して、会員有志は「下関ゴルフ倶楽部を愛する会」(住興信世話人)を結成。2014年10月15日、「福田理事長ら4名に対し、債務者である下関ゴルフ倶楽部に『ゴルフ半額プレイ』で損害を与えた約300万円を支払え」と「社員代表訴訟」を山口地裁下関支部に提訴した。それから2年あまりにおよぶ審理を経て、16年11月30日に判決が下された。
 原告側の主張が全面的に認められ、福田理事長ら4人が敗訴したのだ。

判決の内容

(1)福田浩一理事長(現・山口FG会長兼山口銀行会長)
・被告福田は、補助参加人に対し、28万1,600円(3,200円×88回)及びこれに対する平成26年10月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え

【注】補助参加人は下関ゴルフ倶楽部を指す。また「及び~」以下は同文のため、以降省略する。

(2)梅﨑弘毅キャプテン(現梅﨑礦業代表取締役会長/代表理事)
・被告梅﨑は、補助参加人に対し、19万8,400円(3,200円×62回)を支払え

(3)田中耕三前理事長(現山口銀行相談役)
・被告田中は、補助参加人に対し、43万5,200円(3,200円×136回)を支払え 

(4)田口三郎前キャプテン
・被告田口は、補助参加人に対し、199万400円(3,200円×622回)円を支払え

この判決から見えるもの

 新旧理事長の2人および田口三郎前キャプテンについては、原告の請求通りだった。梅﨑キャプテンだけは1回分減額されたが、ただこのような裁判において、原告側の主張が全面的に認められることは稀であるといわれる。
 本来、下関ゴルフ倶楽部は会員のためにあるべきなのに、山口銀行の社交場として私物化されていた実態を公が認めたということになるのだ。
 下関ゴルフ倶楽部は16年12月9日(金)、経営トップの有罪判決を受けて臨時理事会を開催。その席で福田理事長は辞任を申し出たが、後任を引き受ける者が出なかった。

 全面敗訴を受けて被告側が上訴するかどうかが注目されたが、19日(月)に広島高裁に控訴して争うとの連絡が、原告側の弁護士を通じて住世話人に伝えられたという。
 ただ被告側4人の弁護は、清水弘彦弁護士と下関ゴルフ倶楽部の監事でもある沖田哲義弁護士が補助参加人として受けていたが、支払い命令で199万円と最も多かった田口三郎前キャプテンの弁護は末永汎本弁護士に交代することになった。

 被告側の足並みが乱れることになった大きな理由は、今回の判決が「ゴルフ半額プレイ」に対する支払い命令だけで、「無料プレイ」「飲食費」「接待交際費」などについても争われており、その支払金額は2~3倍以上になると見られているからだ。
 「ゴルフ半額プレイ」で敗訴した被告側は、広島高裁に控訴しており、第1回目の公判は4月24日に予定されている。今後も審理が続くことになろうが、高裁でも判決が覆ることはないと見られている。

 下関ゴルフ倶楽部の役員改選は、16年3月23日に開催された総会で18名が選任されたが、経営側と会員有志とが裁判で争う状況を危惧したのだろうか。大手企業の3名が理事再任を断っている。

 現在、大阪の「森友学園」をめぐる問題で国会が揺れているが、その発端となったのは「安倍総理と35年以上も交友がある松浦正人防府市長が、中川大阪府議(維新)に森友学園を紹介したからだ」と日刊ゲンダイが報じている。その松浦市長も、下関ゴルフ倶楽部の理事の1人として名を連ねているのだ。
 かつて「日本オープンゴルフ選手権」が2回も開催された名門の下関ゴルフ倶楽部だが、今や役員の顔ぶれを見ても、「昔日の面影」はない。今こそ大胆な組織改革による再出発が求められているのではないだろうか。

(つづく)
【データ・マックス 特別取材班】

 
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