2024年11月13日( 水 )

「ロシア・ゲート疑惑」を8割がた乗り切ったトランプ大統領(5)

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SNSI・副島国家戦略研究所 中田 安彦

 コミー証言の行方は、議会勢力とムラー特別捜査官の司法勢力がどのように受け止めるかによってトランプの運命を大きく左右する。しかし、議会勢力は共和党はほとんどすべての議員は「疑惑は晴れた」としており、民主党側は「疑惑は深まった」としており、共和党の結束力が強くなった。ネオコンのマケイン上院議員にしても、コミー証言のときには不自然な質問を繰り返しており、あとで「証言の前日に野球の試合をみてヒートアップして寝不足だった」という意味不明の釈明をしていたほどだ。マケインの盟友で反ロシアのリンジー・グラハム議員も司法妨害の可能性を否定するコメントを出した。ネオコンのマルコ・ルビオ上院議員も、コミー証言前日にはトランプと会食したと報道があり、証言後には「判断はムラー特別捜査官に委ねる」として追及をしない構えだった。

 何よりも議会の「弾劾プロセス」に必要な下院での議決のリーダーシップを取るべき、下院のポール・ライアン議長が、「トランプというのは政治の世界ではまだ新人(He is new to this)だから、色々学んでいる最中だ」として大目に見るという判断をした事が大きい。また、上院トップの院内総務であるミッチ・マコネル議員などは奥さんのエレン・チャオを運輸長官として入閣させているので、はじめからやるつもりはない。むしろ、リンチ前司法長官に火種がコミー証言によって飛び火した民主党上院議員たちは困惑している。政治プロセスである議会の弾劾はこれでは不可能だ。思い起こせば、ニクソンの「ウォーターゲート事件」というのは、政治家としても弁護士としても老練なニクソンが二期目を目指す選挙戦の最中に起きた、民主党本部への侵入事件を発端としている。ニクソンと違って政治の素人のトランプはハネムーン期間のさなかから攻撃を受けている、これはちょっとトランプに対してメディアも厳しすぎて常軌を逸しているというほかない。オバマもかなり共和党から批判されたが彼もハーヴァード・ロー・スクールの出身だから、トランプが知らなかった法律的知識は知っていなければならない。

(つづく)

<プロフィール>
nakata中田 安彦(なかた・やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

 
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