火山活動は大地震の前触れか?欠陥マンション住民の恐怖
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新燃岳で小規模な火砕流
3月25日、霧島連山の新燃岳で噴火が発生し、小規模ながらも火砕流が確認された。ネット上では、明治以降、霧島連山の御鉢や新燃岳が噴火した数カ月後にマグニチュード7.0以上の大地震が発生していたことから「大地震発生の前触れ」との憶測が流れており、耐震性の問題があると指摘されている建築物の関係者の間で不安が広がっている。
NetIBで密着取材を続けている福岡県久留米市の分譲マンション「新生マンション花畑西」の区分所有者・住民からも不安の声があがっている。同マンションでは、設計・施工の瑕疵をめぐり、施工した鹿島建設と設計会社2社を相手取り、区分所有者らが建替え費用を求める損害賠償訴訟を起こしている。
「霧島の噴火は遠く感じていたが、地震発生と関係があると聞き、恐怖を感じている。熊本地震や大分の地震でも大きく揺れを感じており、生きた心地がしない」。同マンションの区分所有者である住民の1人は、そう語る。構造計算の偽装と悪質な施工ミスにより、耐震強度は35%という専門家の指摘がなされている。
裁判では、被告3者のうち設計事務所2社は、1社が裁判を欠席し、もう1社は技術的な反論ができずに、事実上、設計の瑕疵(構造計算の偽装)を認めたかたちとなった。
設計上の瑕疵が特定されたことから、裁判の焦点は、被告・鹿島建設による施工の瑕疵に移り、同マンションで、鹿島建設自身の調査でも確認されている数多い施工の瑕疵のうち「鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さ」に絞られている。
「施工業者の鹿島建設は、鉄筋のかぶり厚さという法律で決められたことを守っておらず、鉄筋が露出しているところもたくさんありました。これが原因で、ひび割れやコンクリートの中性化、爆裂、コンクリート躯体の剥落などが、建物全体に発生したそうです」(前出のマンション住民)
さらに建物の安全性を一切考慮していないように思える実態が語られる。「鹿島建設は、鉄筋のかぶり厚さだけでなく、図面に描いてある梁を各階30カ所も施工していませんでした。こんな未熟な施工を棚に上げ、裁判における鹿島建設は開き直り、『図面どおりに施工してなくて何が悪い』という態度が見受けられます。私は、鹿島ブランドを信じてマンションを購入しましたが、見事に騙されて悔しい限りです」(同)。
「いまだ住宅ローンが残っていますが、耐震強度がないマンションに資産価値はなく、売ることもできません。価値のなくなったマンションのローンを払い続けることにむなしさを感じています」(同)。生命の安全はもちろんのことだが、建替えなどで生じる二重ローンへの不安も大きい。さらに、耐震性の不足が指摘されるマンションが、倒壊または破損した場合、それが原因で人に危害をおよぼすことになれば、その責任も問われかねない。
実際に、同マンションにおけるコンクリート片の落下や機械式駐車場のパレット落下などの事象は、竣工後1年ごろから発生。分譲業者が解散したため、施工業者の鹿島建設との間に20 年も紛争が続いている。
大手ゼネコンによる“兵糧攻め”
区分所有者たちは疲弊し、高齢化も進んでおり、20 年の間にはこの世を去った方も少なくはない。裁判が異常に長引いている原因は、鹿島建設による引き延ばしにほかならない。裁判所から提出を求められた資料を、何度も提出せず、その都度、時間を延ばしてきた。財力的にもタフな大手ゼネコンによる“兵糧攻め”が行われている。
鹿島建設は、大型公共工事も数多く手がける世界的な企業である。手がけたマンションに施工不良があれば、真摯な対応をとるべきだ。しかし現実は、同マンションの問題に関して、一切、謝罪していないどころか、開き直っている。それが当たり前と言わんばかりに。
「明日は我が身」という言葉を、われわれは何度繰り返せば気が済むのだろうか。火山活動を前兆とするネット情報を、欠陥マンション住民が敏感に受け止めている状況は、決して対岸の火事ではない。
【山下 康太】
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