2024年11月21日( 木 )

怪物・カマチグループ創設者、蒲池真澄氏(12)

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医学界の常識を破り都心部・原宿で回復期病院革命を起こす(後)

<急性期との連携で地域医療にも貢献>

 巨樹の会のリハビリ職員は、他病院にも評価されている。都心で不足している急性期治療後の患者受入先として原宿リハビリテーション病院に期待を寄せる医療関係者側からは、協力を申し出るところもある。済生会中央病院の高木誠院長は、「巨樹の会のリハビリ病院には、すでにこれまで多くの術後の患者を受け入れてもらい、連携を図ってきた。原宿にも期待している」と述べた後、同会の特徴であるリハビリ職員について「明るく前向きで、病院を良くしようとする意欲がある」と評価している。さらに「リハビリ治療を受け入れた後、帰宅した途端、努力を辞めてしまう人もいる。そのような方のフォローにもお力を貸していただけると嬉しい」とさらなる事業の提案なども示した。
 また一般社団法人渋谷区医師会会長の豊田道明氏は「私たちも介護保険制度ができる以前から在宅ケア委員会をつくり、地域医療の実践に向けて研鑽を重ねてきた。今後、医師会、行政との協力体制のもと連携して地域医療構想を実現させていきたい」という旨を示した。
 周囲の急性期病院との連携を取り、ここから退院する患者を数多く受け入れれば、303もの病床を埋めるのも難しいことではないだろう。

<303床のうち153床は無料>

fukei 急性期病院との連携、つまり入院診療の流れとしては、まず各急性期病院で救急医療患者を入院期間2週間~1カ月で受け入れ、その後、回復期リハビリテーション病院で他職種による合同カンファレンスと治療プログラムを作成、2~6カ月の入院期間をかけてリハビリに取り組む。

 入院費は病室タイプにもよるが、303床のうち153床は入院費無料の大部屋。個室のみ日額4,050~40,500円(アメニティ込)。2~4人部屋は無料(アメニティ別)だ。長期の滞在になることを見込んで、病室はシックで落ち着きのあるデザインにしている。都心となると高額だと思われがちだが、無料部屋もあり、治療も保険内だ。リハビリ訓練施設は1フロア全面を占め、明るく開放的な雰囲気だ。医療機器も充実しており、自立動作を支援する福祉用のロボットスーツ「HAL」を4台導入するなど、最新鋭のリハビリ機器や設備を取り入れている。

 「HAL」は立ち上がる、歩く、など、装着者の意思を感知して動作をアシストする。加齢で脚力が低下した人や、下肢の不自由な人が自力で歩けるようになるための第一歩をアシストすることで、近年、介護福祉業界で注目されている。他には病院・施設向けリハビリテーションシステム「デジタルミラー」も取り入れている。自分の姿勢や動作をミラーで確認し、映像を見ながらトレーニングすることができる。リハビリの評価に使われやすい測定値やトレーニング画像やバランス計や運動回数、時間などの数値としてデータ保存でき、後から比較検討や履歴確認などもできる。

<原宿リハビリテーション病院は蒲池イズムそのもの>

nitijo_rihabiri 機能訓練室の訓練だけでなく、自宅をイメージした和室でのシミュレーションルームや、広い屋上庭園など、病棟内や屋外での遊歩道を利用して、日常生活に戻った感覚を取り戻させながら、数々の市街地訓練を行えるようになっている。病室からは代々木公園、東京タワー、東京スカイツリーなどが一望でき、景観も申し分ない。何より、JR原宿駅から徒歩8分とアクセスも良く、家族が見舞いに来やすい環境となっているのが一番の魅力だろう。

 実は、都心にあるリハビリ病院、つまり「都市型」リハビリ病院という発想は、カマチグループ創設初期からの、蒲池会長の理念でもあった。八千代リハビリテーション病院創設のきっかけとなった八千代デイサービスセンターを出所した(株)シダーの山崎社長が小文字病院のリハビリ部長だった頃、蒲池会長は都心にある利便性を生かした「都市型リハビリ病院」の構想を思いついたのだ。その後、山崎氏は下関第一病院の事務局長となり、下関リハビリテーション病院開設の中心となってその後の「都市型リハビリ病院」開設の礎をつくった。
 カマチグループ内でリハビリ職員として働き、今は重度障害者施設を運営する元リハビリ職員に訊いたところ、在宅復帰に求められる条件の1つは、「家族の住居からアクセスがいいこと」「すぐに家族が入居者の顔を見に行けること」だと語った。その条件を今、グループ内で一番兼ね備えているのが、原宿リハビリテーション病院だと言えるかもしれない。

(つづく)

<プロフィール>
kamati_pr蒲池 真澄
学校法人福岡保健学院創設者、社会医療法人財団池友会理事長、カマチグループ会長。
1940年4月14日、福岡県八女郡黒木町生まれ。蒲池家は江戸中期から8代続いた医師の家系で、蒲池真澄で9代目となる。59年 福岡県立修猷館高校卒業、65年九州大学医学部卒業。東京虎ノ門病院でインターン(1年間)、九大大学院医学研究科、下関市立中央病院、福岡大学医学部を経て、74年に今日の池友会グループの礎となった下関カマチ病院を開院し独立した。

 

 

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