熊本の産廃業者が義務違反 県に処理実績報告書提出せず
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熊本県の産業廃棄物処理業者が、年度終了後に許可主体である県に提出を義務付けられている産業廃棄物の処理実績報告書の一部の提出を怠っていたことが県への取材でわかった。
報告書が未提出となっているのは、産業廃棄物の中間処理と収集運搬を手がけている「(株)大」(熊本県八代市、永田智彦代表)。通常、許可業者は年度終了後に、前年度の産業廃棄物処理の実績を許可主体である自治体に報告しなければならないが、同社が中間処理施設での処理実績の報告を怠っていたことが、熊本県への情報公開請求で判明した。
データ・マックスが熊本県に対し、同社の「平成29年度産業廃棄物の処理実績報告書」を情報公開請求したところ、中間処理施設での実績があるにもかかわらず、県に同報告書が提出されておらず、文書が不存在であることがわかった。熊本県環境局も同報告書の未提出を認めている。同局によると、同社は年度途中で許可を取得したため、リストから漏れた可能性を示唆。熊本県八代市では30社ほどの産廃業者が稼動しているが、データ・マックスからの請求で未提出を覚知したという。
熊本県産業廃棄物指導要綱では、産業廃棄物の処理施設の所有者は、毎年6月30日までに、「産業廃棄物処理実績報告書」を保健所長を経由して、知事に提出しなければならないことになっているが、これを怠っていたとみられる。同局は10カ月以上、未提出のままだったことを認めたうえで、発覚後保健所を通じ、提出を促したという。
罰則はないものの、福岡県内の同業者は「実績報告の未提出はありえない。管理体制が杜撰であると言わざるを得ない。気づかなかった熊本県も反省すべきだ」と話す。
また同社においては収集運搬のために大型トレーラーを所有、運行させているが、国に申請すべき「特殊車両運行許可」を取得していない可能性が高い。法令で定められている一般制限値(幅・高さ・長さ・重量など)を超える特殊車両を走行させる場合は、安全な通行や道路保全のため、車両ごとにその運行ルートを事前に申請し、許可を得る必要があり、許可証を常に車両に備え付けなければならない。
データ・マックスが国土交通省九州地方整備局に同社の特殊車両通行許可証を情報公開請求したところ、文書が存在しないことが判明。九州での特殊車両運行実績がありながらも、申請していない可能性がある。同許可制度には罰則規定があり、特殊車両を無許可で通行させた場合、30万円以下の罰金などが科せられる。
以上2件の文書不存在について、同社に質問状を送っていたが、5月20日現在、回答は来ていない。
【東城 洋平】
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