リアルの売り場をイノベーションで刷新 失地回復を図り、新たな需要も喚起(後)
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「キッズリパブリック」は体験できる場とサービスも提供
キッズリパブリックは、14年11月、「イオンモール倉敷」1号店をオープン、17年11月には、横浜の「ノースポート・モール」に店舗を設け、グループ外のショッピングセンターにも単独で出店、出産前のプレママや子育てママの高い支持を得ており、急速に力を付けている。
現在、独立した店舗として24店舗を展開しており、出産、節句、入園・入学といった節目、節目を意識し、ニーズに対応した提案も行い、さまざまな相談にも応じて寄り添いながら需要の取り込みを図っている。
また、遊び場やカフェなどを設け、ワークショップなどのイベントも随時開催。商品を単に売るのではなく、ワクワクドキドキする売り場づくりが特色となっており、コミュニティの場としての役割もはたしている。
「イオンスタイル東戸塚」のキッズリパブリックは約1,700坪の旗艦店だ。遊び場や飲食スペースを充実させ、体験型の時間消費を喚起、イベントの年間開催数は240にのぼり、地域のNPO法人と協力したものも展開、地域と連携した子育て支援にも係わっていく。
「リバプーひろば」は約330m2、児童が自由に遊べ、大型ビジョンを使った体験コンテンツ「リバプーサーカス」や、NPO法人「CANVAS」が監修するワークショップ「リバプースクールを週1、2回開催、幼児を対象にした遊び場「かもめ広場」も用意した。
小さな子どもがリアルな買物体験が楽しめる「リバプーマーケット」といったユニークなショップもあり、売り場の各所でもそれぞれ体験ができるスペースを設けている。
国内初のフランス生まれのキッズファッション誌「ミルクジャポン」がプロデュースするオシャレな写真スタジオ「フォトルバ」でも、参加型のイベントやワークショップを開催する。
医薬品や健康食品、スキンケアやオーラルケアアイテム、ベビーカーなどをそろえ、産前産後のママとベビーをケアする「ママ&ベビーケア」では、助産師や登録販売者などの専門家による相談会を定期的に開催する。
カフェスペースも充実させ、イオンファンタジーが運営する8歳までの子どもが遊べるプレイグラウンドを併設した複合カフェ「カフェもりっちゃ」は、親子で楽しめくつろげる90坪の大型空間だ。
こうしてキッズリパブリックは、単に商品を販売するだけではなく、交流できる場とさまざまなサービスを兼ね備えた「総合子育て応援事業」を目指そうとしている。
アプリの会員数も順調に拡大、産婦人科と小児科の医師のオンライン無料相談といったサービスに加え、今後は保険や金融といったイオングループの機能の活用も視野に入れている。
いままでのGMSのキッズ・ベビー売り場は、セルフ販売が主体で、どちらかといえば本部主導の売り場づくり。専門店として展開していくためにはこうした体質から脱却することも必要となり、1人ひとりに対して売上に対する意識もより求められ、売上を自らつくり出す取り組みも求められている。
「グラムビューティーク」は女性を意識した専門店
「グラムビューティーク」は、「お客さまに寄り添う美と健康の拠点」をコンセプトに、生活者の健康と美と、地域医療への貢献を目指すヘルス&ビューティーの専門店。
一般薬品、健康食品、化粧品、雑貨を始め、メガネに至るまでの美と健康に関する商品を展開。調剤薬局を併設、ネイルサービスも展開し、個々の希望や悩みに寄り添った接客・アドバイスを通じて、商品・サービスを提供している。
さらに、健康的で自分らしくいられるために、美容・予防・未病の分野において意欲的な取り組みを行っていこうとしている。
そこで、女性の悩みやニーズに応じて商品を選べる新しいタイプのコスメ&ドラッグのセレクトショップ「グラムビューティークプラス」も展開している。
肌や体の悩みをケアする薬や化粧品から、ナチュラル&オーガニックなライフスタイルを叶える雑貨やアクセサリーまで取り扱い、悩みを解消、ニーズに対応、顧客目線の売り場編集となっている。
さらに、ナチュラル&オーガニックアイテムを集積したコーナーや、昨年8月には、PB「トップバリュ グリーンアイオーガニック」から、初のオーガニックスキンケア化粧品「ジーオ オーガニクス」を発売した。
オイルや化粧水など9種類のラインアップで、オーガニックスキンケア化粧品としては低価格となる1,500~2,000円で販売し、今後、ラインアップを拡大するなどして、3年で5億円の売上を目標にしている。
こうして、新たなコンテンツを付加して、グラムビューティックは、さらに進化を続けようとしている。
一方で、イオンの店舗において現在58の売り場を展開しているが、リニューアルも活発に行い、新たな需要の取り込みにも力を入れている。
「イオンスタイルユーカリが丘」もその1つ。昨年6月改装し、認知度をより高めるためにセルフコスメを売り場の前面にし、逆にカウンセリングコスメを奥にし、落ち着いて接客できるよう奥に移動、通路幅を広げて、ゆったり買い物ができるようにした。
欠落しているものや要望のあったものをそろえ、医薬品はやや絞り込み、逆にビューティーは増やした。客層は30代、40代がメインだが、シニアも同じくらいおり、シニアケアでは杖などの用具もそろえ拡充した。
その結果、狙いどおり滞留時間が延び、客数も増加、売上もリニューアル前と比較して、今上期中に11%増えた。とくにカウンセリングコスメが好調で、シニアケアも用具の売上がプラスオンされ、調剤の処方箋の取り扱いも上向いているという。
グラムビューティークは、ドラッグストアとは一線を画して、店づくりに取り組み差異化を図ろうとしているが、売り場づくりや商品構成はGMSの延長線上から抜け出せておらず、より機動力のある専門性を深めたものにする必要がある。
専門性を高めるイオンの逆襲が成功するかは、当たり前だがひとえに消費者の支持を得られるかにかかっている。失地を回復し、さらに新たな需要を取り込むためには、顧客の要望、ニーズに真摯に耳を傾けて対応し、魅力と感じられる提案をできるか、積極的に仕掛けで需要を喚起して行くことも求められている。
(了)
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