2024年11月22日( 金 )

【コロナに負けない(7)】新型コロナウイルスが食品業界におよぼす影響~読者からの投稿(後)

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行政支援

 経産省ホームページの「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆さまへ」より中小企業向けの「資金繰り」「設備投資・販路開拓」「軽環境の整備」の3点に関する政策案内が記載されている。主な施策の概要を以下に示す。
(詳細は経済産業省ホームページ(https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf)へ)
 「経営相談窓口の開設」・・・中小企業関連団体、支援機関、政府系金融機関など1,050拠点に「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」を設置し、経営相談に対応。

(1)資金繰り支援

 「信用保証」:セーフティネット保証で全国、および影響を受けている業種に100~80%保証。危機関連保証はさらに別枠で100%保証。
 「無利子・無担保融資」:新型コロナウイルス感染症特別貸付(売上高5%以上減少)、商工中金の危機対応融資(売上高5%以上減少)、特別利子補給制度(売上高15~20%減)
 「セーフティネット貸付」;(通常売上高5%減のところ特例措置で数値要件なし)

(2)設備投資・販路開拓支援

 「ものづくり・商業・サービス補助」:新製品・サービス開発、生産プロセス改善等の設備投資支援(資金補助)
 「持続化補助」:小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援(資金補助)
 「IT導入補助」:ITツール導入による業務効率化などを支援(資金補助)

(3)経営環境の整備

 下請取引配慮要請、個人事業主・フリーランスとの取引に関する配慮要請、官公需における配慮要請、下請Gメンによる実態把握、雇用調整助成金の特例措置(休業手当、賃金の一部助成)、雇用調整助成金の特例措置(休業手当の助成率引き上げ)、小学校等の臨時休業にともなう保護者の休暇取得支援および保護者支援、個人向け緊急小口資金等の特例(資金貸付)、休業や労働時間変更への対応(情報提供)、労基署における配慮(感染症対策に資する業務への配慮)、厚生年金保険料等の猶予、税務申告・納付期限の延長(4/16まで延長)、国税・地方税の納付猶予、電気・ガス料金支払猶予、テレワークに関する情報提供・導入支援、ジェトロ相談窓口、輸出入手続き緩和(有効期限の延長)

今後の課題

 感染拡大を防ぐための改正新型インフルエンザ対策特別措置法が3月14日施行された。これにより首相が緊急事態を宣言すると外出自粛要請・大規模施設の使用停止を要請・指示ができることとなった。臨時の医療施設向けに土地や建物を所有者の同意なしに使用することや、医薬品の強制収用も可能とする。もしこの緊急事態宣言が出され「ロックダウン(都市封鎖:公共機関や学校、店舗を閉鎖し国民の行動を制限する)」の事態となったら、食品業界ばかりでなく、全産業が大打撃を受けることになろう。企業活動はほぼ麻痺し、小売店からは物がなくなり、品不足と値上がりが起きる。その状況が1カ月以上継続すれば、小規模の店舗などは倒産の危機に瀕するだろう。各事業者は今から最悪の事態を想定し、上記行政支援を最大限、有効活用することを検討しておくべきである。

 これからの懸案事項として原料・資材の納期遅れや欠品が危惧される。とくに中国関係の物流環境悪化が大きく影響するだろう。この機会に中国一極集中している調達方法を他国へシフトするよう見直す必要がある。

 感染が終息すれば徐々に市場も活発化するだろう。その時いち早く業況を回復させるために、輸出入拡大のための招致活動やPRを仕掛けていくことが肝要である。このような非常時だからこそ、政府や関係機関と業界団体が官民一体となって次の飛躍のため、先手を打っていくことが望まれる。

 約1年先に延期された東京オリンピックに向け、今こそ日本の食が試される時である。この難題を奇貨として、世界へ向けてさらに安全・安心で美味な食の提供をしていく体質へ生まれ変わるチャンスと捉えたい。

(了)

【辺見】

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