2024年12月22日( 日 )

東京オリンピックに間に合うか?激化する新型コロナ・ワクチンの開発競争(後)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2020年10月9日付の記事を紹介する。


 いずれにせよ、アメリカもロシアも必死でワクチン開発に取り組んでいる。当然、中国も負けてはいない。独自のワクチン開発に精力的に資源を投入してきている。武漢がCOVID-19の発生源との国際的な批判を受け、国内の感染封じ込めに国を挙げて強権的な対応を続けてきたわけだが、その効果もあり、中国での感染はピークを過ぎたといわれる状況にある。「ピンチをチャンスに変えよう」という発想からコロナ・ワクチンの開発に資金と人材を惜しみなく投入しているようだ。その結果、WHOが期待する9種のワクチンのうち、4種は中国で開発が進んでいる。

 そんな中、中国の感染症研究の第一人者で、国家衛生健康委員会専門家グループ長を務める鍾南山(チョン・ナンシャン)博士がロシア製のワクチンを高く評価したうえで「この機会にロシアと中国の専門家がCOVID-19用のワクチンを共同で開発、製造する必要性」にも言及。要は、世界が期待し注目するコロナ対策用ワクチンの開発において、ロシアと中国が手を結んで取り組むという流れが生まれつつある。ロシアのペトロバックス社と中国のキャンシノ・バイオロジックス社はすでにワクチンの共同開発と治験で手を組んでいる。

 実は、中国とロシアには共通点が多い。軍関係の研究機関が関与していることはいうまでもない。また、国家が主導し、途上国を中心に無料でワクチンを提供し、ワクチンの購入費用をローンで提供するという方式を採っているからだ。対象になっているのはバングラデッシュ、ミャンマー、フィリピン、タイ、カンボジア、ベトナムなどアジア諸国に加えて、ラテンアメリカ、カリブ海諸国やアフリカにも広がっている。明らかに途上国を味方に付けようとする「ワクチン外交」に他ならない。

 では日本の状況はどうだろうか。菅新首相は「コロナ対策を最優先課題とする」というものの、治療や予防に関しては外国任せといった感がぬぐえない。たとえば、厚労省では英国のアストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同開発するワクチンを1.2億回分、アメリカのファイザー社のワクチンも1.2億回分を完成の暁には輸入する契約を結んでいると説明。

 しかし、期待のアストラゼネカのワクチンは英国で治験者に重大な副作用が発生し、一時的に実験が中断するような事態も起きている。その後、治験は再開されたが、2件目のトラブルが発生したこともあり、「年内には完成させたい」というが、「現時点での効果は50%」と認めており、先行きは厳しい。

※続きは10月9日のメルマガ版「東京オリンピックに間に合うか?激化する新型コロナ・ワクチンの開発競争(後編)」で。


著者:浜田和幸
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