2024年11月24日( 日 )

2050年、温室効果ガスを実質ゼロへ~26日の臨時国会で首相が表明

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 政府が温室効果ガスを2050年に実質ゼロとすることを目標とする方針を定めたことが発表された。26日に召集される臨時国会で、菅義偉首相が所信表明演説で表明する予定だ。

 政府は今回初めて「ゼロ」にするという目標を方針として掲げる。EUの「2050年に実質ゼロ」や「中国の2060年に実質ゼロ」など世界でCO2排出量を削減する流れが見られ、今後、世界的に社会構造が大きく変わる可能性がある。

 日本は、温室効果ガスをCO2換算で12億1,400万トン(2018年度)排出しており、そのうちCO2が約91%を占める。政府の目標は、実質的には「CO2の排出量を2050年までに実質ゼロへ」ということを意味する。

 CO2の排出源の内訳は、もっとも多い発電所などが40.1%、次に工場などの産業が25%、自動車やバスなどの運輸が17.8%、業務その他が5.6%、家庭が4.6%、工業プロセスが4.1%、廃棄物が2.5%である。

 このことから、CO2排出量を減らすためには、再生可能エネルギー発電の拡大や電気自動車(EV)の普及が必要と考えられる。しかし、再エネの発電電力に占める割合は16.9%(2018年度)と前年度比0.9%の微増にとどまっており、政府の再エネ普及の姿勢には、「不透明感」が募る。そのため、今後は再エネが本当に普及できるよう送電線への系統接続や容量市場の問題などで再エネ関連の施策の見直しを迫られることになるだろう。また、EVの普及率は国内で約1%とまだまだ普及の余地が大きいため、今後の動向が注目される。

 「CO2実質ゼロ」とは、CO2の排出量と海や森林などから吸収される量を差し引きでゼロにするという目標だが、実現が難しい場合は目標を超えて排出してしまったCO2の排出枠を他の国などから購入する排出量取引が必要になる可能性も捨てきれない。

 一方で、現状の発電体制では、原発稼働を停止すると石油・石炭火力発電によりCO2排出量が増えるが、原発はCO2排出が少ないと言われ、「CO2削減」という言葉が原発再稼働のための隠れ蓑として使われる可能性がある。国が本当に社会や環境に配慮した方法でCO2削減を行う意思があるのか、今後の「CO2削減策」の中身にも注目すべきだ。

【石井 ゆかり】

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