2024年11月24日( 日 )

Don'tEatに変異GoToEatの愚

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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を紹介する。今回は、「菅義偉首相、二階俊博自民党幹事長は、感染抑止を最優先とすべきところ、Go Toトラベル、Go To Eatで日本でのコロナ感染爆発を創出した首謀者だ。利権のために、感染推進のエンジンをふかした」と訴えた1月6日付の記事を掲載する。


菅義偉首相が国会での説明から逃げ回るなら直ちに首相を辞任すべきだ。

11月に感染拡大が鮮明になった。
11月12日に国内の新規陽性者数が3カ月ぶりに過去最高を更新して1,660人になった。
11月18日には新規陽性者数が初めて2,000人を超えた。

東京のGo Toトラベルが始動したのが10月1日。
その影響を順当に反映して新規陽性者数が急増し始めた。

11月18日の会見で日本医師会の中川俊男会長は「Go Toトラベルが感染者増のきっかけになったことは間違いない」と明言した。

11月20日には菅内閣のコロナ対策分科会会長・尾身茂氏がGo To見直しを提言し、「英断を心からお願いする」と述べた。

しかし、菅義偉首相は12月14日にGoToトラベルの全国一時停止を発表するまで何もしなかった。
何もしないどころか、11月21日からの3連休に全国各地に人が移動するGo Toを全面推進した。

11月25日から「勝負の3週間」と唱えたが、実態は「感染拡大推進・勝負の3週間」だった。
Go Toの人出急拡大を受けて12月中旬から新規陽性者数の拡大に歯止めがかからなくなった。

12月11日のニコ動に「ガースーです」と自己紹介して登場した菅義偉首相はGo Toトラベル一時停止について「そこはまだ考えていません」と述べた。

ところが、12月13日発表の毎日新聞世論調査で不支持率が支持率を上回ったことを受けて12月14日に突然のGo To全国一時停止を表明。
しかし、その足で向かったのは銀座での高齢者8人によるステーキ忘年会だった。

国民には5人以上の会食を控えるように要請しておきながら、自分は8人での忘年会に参加した。
しかし、Go To一時停止を12月14日に表明しながら、実施は12月28日だった。
12月27日まで全国で「駆け込みGo To」が沸騰した。

北陸地方では12月28日までズワイガニ相場が異常高騰を示した。
すべてはGo To狂騒曲によるもの。

12月31日に東京都の新規陽性者数が1,000人を超えた。
首都圏1都3県の知事が1月2日に緊急事態宣言発出を要請した。
このときも菅義偉首相は自分で対応せずに裏に隠れた。

支持率がさらに急落することを恐れて、1月4日になって緊急事態宣言発出の「検討に入る」ことを表明したが、このときには1月9日からの実施とする腹積もりだった。

1月6日の全国の新規陽性者数が6,000人を超えた。
Go Toで日本全国にウイルスをまき散らしたことにともなう順当な結果だ。
1月7日に菅内閣が緊急事態宣言を発出するにあたり、国会は政府から事前報告を受けることを決めた。
国会では1月7日、衆参両院で議院運営委員会を開き、政府からの報告を受ける。

時間は各院それぞれ40分。
野党は菅義偉首相の出席を求めたが、自民党が拒絶した。

例によって森山裕自民党国対委員長と安住淳立憲民主党国対委員長が協議して決めたが、なぜ、安住氏は自民党の言いなりになるのか。
国民が緊急事態に直面している。
菅義偉首相が強引に主導したGo Toトラベル事業が国民の危機を創出した。

菅首相が出てきて説明するのが基本の基本。
都合が悪くなると姿をくらまして部下に説明を押し付ける。
さすがは令和版インパール大作戦首謀者だ。

しかし、与党の言いなりの安住淳氏も更迭されるべきだ。
重大事案であり、衆参両院で2時間ずつ時間を確保して、野党による質疑を行うべきだ。

Go To Eatと叫んでいた菅義偉首相が一転してDon't Eatと叫んでいる。
国会が菅義偉氏に厳しく問いただすことは当然でないのか。

日本のコロナ対策は世界最悪。
基本対応が間違っている。
何よりも重要なことは検査の拡充。

安倍内閣、厚労省、専門家会議、コロナ分科会は検査抑制を貫いてきた。
これが完全なる誤りなのだ。
PCR検査の前に抗原検査を行うこともできる。
抗原検査は判定までに要する時間が短い。

コロナの最大の特徴は、
1.無症状の感染者が感染を拡大させること
2.急激に重篤化して死に至ること

感染を抑止するには、徹底的に感染者を洗い出すことが必要。
そのためには、検査の拡充、検査の徹底が必要不可欠だ。
感染者を大規模な宿泊施設で隔離することが極めて重要になる。

検査を拡充してコロナ感染を発見しないと、対応が遅れて命を失うケースが発生する。
このためにも検査の徹底が必要だ。

検査に要する費用は著しく低下している。
世界中の国が低価格の検査キットを活用して全面的な検査拡充を実施している。
日本だけが検査抑制の方針を維持し続けている。

「検査利権ムラ」が検査の広範な拡充を阻止している。
「検査抑制」の誤りを素直に認めて、検査の徹底的拡充に方針転換すべきだ。
その司令塔の役割を担うのが内閣総理大臣である。

Go Toトラベル、Go To Eatで日本でのコロナ感染爆発を創出した首謀者は菅義偉首相であり二階俊博自民党幹事長だ。
感染抑止を最優先とすべきところ、利権のために、感染推進のエンジンをふかした。
その順当な結果が表面化している。

やむにやまれぬ「転進」だが、その説明からも逃げ回るのはあまりにも見苦しい。
大失策を演じたときこそ、前面に出て、疑問を残さぬ説明を尽くすべきだ。
同時に、検査を全面的に拡充する方針転換を表明すべきだ。

検査抑制を維持する限り、感染収束を期待しがたい。
緊急事態宣言を発出すれば感染が収束すると考えているなら甘すぎる。
緊急事態宣言と言っても、「8時以降の飲み会禁止宣言」に過ぎないものしか提案されていない。

大観衆を収容してのスポーツ行事を停止しないところに、菅内閣のダブルスタンダードが透けて見える。
この期におよんで、感染抑止最優先ではない。
五輪ファーストなのだ。

昨年3月1日には全国一斉学校休校を始動させるとしながら、7万人の濃厚接触を生み出す東京マラソンが強行された。
本年1月2日、3日には18万人の濃厚接触者を生み出す箱根駅伝が強行された。

1月10日からは大相撲初場所が予定通り実施されるとされている。
狭い空間に多人数が詰め込まれればリスクが高くなるのは当然のこと。
五輪のためにスポーツ行事続行が意図的に緊急事態宣言の対象から除外される。
この行為自体が東京五輪の実現をより遠ざける結果を生み出すだろう。

2021年は選挙イヤー。
衆議院議員総選挙が実施される。
各紙が衆院総選挙立候補予定者を紹介している。

重要なことは自公政治を打倒しようとする勢力が候補者を一本化すること。
共産党を含む革新政権連合を構築すること。
これを阻止するためのさまざまな工作活動が展開され始めている。

政策を基軸に大きな連帯を構築する。
これが「政策連合」の考え方だ。

「政策連合」に参画し得る政党に対して、「政策連合」から候補者一本化の要請を行うことを検討している。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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