コロナとトランプの先に潜む新たなデータ覇権争いと人体への影響(中)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。今回は、2021年3月5日付の記事を紹介する。
これまでトランプを支えてきた富裕層のなかには先日急死したカジノ王のエーデルソン氏のように、「トランプ減税のお蔭で、もう十分元を取った」という理由で袂を分かつ動きも。
ファイザーなど大手製薬メーカーの間でもバイデンに乗り換える動きが加速していた。そもそも「身から出た錆」としか言いようがない。フロリダの別荘に引きこもり、ゴルフ漬けの生活では「錆」も落ちないだろう。
それどころか、フロリダの地域住民からは「トランプ帰れ」と反対運動が巻き起こる有り様である。まさに「トランプ時代」の終わりであろう。トランプ前大統領は「選挙には勝った」と未練がましく言いつつもホワイトハウスを去り、フロリダ州にある別荘「マーラーゴー」に活動拠点を移し、捲土重来を期しているのかもしれない。
とはいえ、近隣の住民からは「出て行って欲しい」との苦情や訴訟が相次いでいる。一体全体どういうことだろうか。実は、トランプ氏がこの別荘を購入したのは1985年のこと。
当時の契約では「景勝地のプライベートクラブのため、敷地内に居住することはできない。ただし、管理にあたる従業員は例外」というもの。
あくまで社交の場としての購入ということで、所有者であろうとも居住することはできない決まりである。そのため、冬場を中心に週末に短期滞在するのがトランプ流であった。
しかし、ニューヨークのトランプタワーをはじめ、各地にあるトランプの名前を冠したホテルやゴルフ場は借金の取り立てに合っており、いつまで維持できるか不明となっている。そこで一番安心と判断し、「南のホワイトハウス」と命名したフロリダの別荘に移住したのである。
ところが、超有名人で前大統領であれば、近隣の住民も歓迎してくれてもいいはずだが、身から出た錆であろうが、地元住民の間では「出ていけコール」のほうが大きいのである。
地域住民からは「上品で穏やかな住環境が破壊され、落ち着いた雰囲気が保てなくなった」という反対運動が巻き起こってしまった。
こうした状況を見るにつけ、「メキシコとの国境に大きな塀を建設する」と豪語したにもかかわらず、途中で放り投げてしまったことが思い出される。中途半端で終わったメキシコとの間の塀建設計画への腹いせではあるまいが、自らの敷地内とはいえ、隣人との間には高い塀を勝手につくり、周囲の景観を阻害しても平気という傲慢な態度である。
そうした自己中ぶりがすべてを象徴しているように、相変わらず「トランプ・ファースト」に終始しているトランプ前大統領。周辺の住民たちは「パームビーチを守る会」を結成し、30年前の契約書を持ち出し、地元の議会に「トランプ追い出し」を提訴したため、弁護士を介しての交渉が展開されることになった。最終的に得られた結論は「トランプ氏はマーラーゴーの従業員である。よって敷地内で仕事をするという条件で住むことが認められる」というもの。これまた、ウソで固めたディールの最たるものであろう。
思い起こせば、トランプ氏は1回目の選挙期間中、「大統領に就任したらゴルフは止める」と宣言していた。ところが、4年の間、実に300回以上もゴルフ場に通うという有り様だった。また、警備の任に当たるシークレットサービスを「自らのホテルに無償で泊める」と公言していたはずが、通常より高い値段を請求するという身勝手ぶりだった。正に、国費の乱用に他ならない。
加えて、コロナ対策という名目で、ラストベルトの貧困層に多額の現金を配布するため、 2回目の選挙期間中には過去200年分以上の紙幣を乱発した。これこそ、国家破綻より自らの再選を優先するという前代未聞の姿勢を平気で貫いたものだ。お蔭で、職を失った白人労働者の間では、絶大な人気を得ることができたのである。何しろ、アメリカ国民の3割は資産ゼロあるいは借金漬けという目も当てられない状況に陥っている。コロナ禍のなか、ますます貧富の格差が広がっているのがアメリカに他ならない。トランプ前大統領は富裕層への減税や大企業への優遇策は積極的に推進してきたが、根本的な格差是正には後ろ向きであった。
トランプ氏の姪にあたる精神科医のメアリー・トランプ女史によれば、「あんな精神異常な人物が大統領職を辞したのでほっとしている。しかし、彼の息子や娘がフロリダから上院議員選挙に出馬することを狙っているようなので、心配の種は尽きない。とくに娘のイバンカは夫のクシュナーと一緒になって、ホワイトハウスで大統領顧問の仕事をしながら、企業から6憶ドルもの収入を得ていた。父親譲りの金権至上主義だ。こういった連中を野放しにしてはいけない」。
身内から、こうした批判の刃を突きつけられているわけで、トランプ一家の強欲ライフはDNAに刷り込まれたものに違いない。こうした自己中大統領が7,400万人から支持されたということはバイデン政権としても無視できないだろう。どこまでトランプ時代に追及された「アメリカ・ファースト」政策を「国際協調」路線に転換できるのか。
大統領選挙がバイデン勝利で終わった直後から、日本政府は外務省が中心となり、バイデン政権を支える民主党人脈に接触を取り始めた。菅総理はバイデン大統領と電話会談を行ったが、両政府間ではほぼ連日のように情報と政策のすり合わせが行われている。その点でいえば、トランプ時代よりはるかに事務方を中心に政府間のコミュニケーションはスムースに行きそうだ。
著者:浜田和幸
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