実は増えていないコロナ陽性率、爆発的な感染拡大は起こらない
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厚生労働省が発表した新型コロナウイルスの3月31日の陽性者数は2,077人、PCR検査実施人数は4万1,247人。昨年3月31日の陽性者数218人と比べると陽性者数は急激に増え、感染が急拡大している印象を受けるが、実はコロナと判定された人の割合(陽性率)はほとんど増えていない。
コロナ感染者は急増しているのか?
下記のコロナ陽性者数のグラフを見ると、「第1波」「第2波」「第3波」と時期を追うごとに陽性者数が増加している。
下記のPCR検査実施人数のグラフも、昨年2月以降、時期を追うごとに検査実施人数が大きく増加している。
これらの結果から、PCR検査を受ける人数が増えたことで新型コロナと判定される人数(陽性者数)も増え、感染が拡大しているように見えているだけではないかという疑問が湧いてくる。
コロナ陽性率は急増していない
本当に感染拡大が起こっているかどうかを判断するためには、PCR検査を受けた人のうち、どのくらいの割合の人が感染しているかを調べることが必要だ。感染している人の割合の増加は、感染拡大を示すからだ。そこで、検査を受けた人のうち、陽性と判定された人の割合(検査の陽性率)を調べてみた。
検査の陽性率は下記のグラフの通り、1~18%の間で季節によって上下している。昨年の2~3月、4~5月、7~8月、12月~今年1月にかけて陽性率が増加しているものの、陽性者数のグラフのように、時期を追うごとに陽性率が爆発的に高まっているわけではない。
つまり、検査数の増加にともない、陽性と判明した人が増えているだけで、日本全体で見ると日を追うごとに感染者の割合が爆発的に増えているということではない。
昨年の4~5月、今年の1~3月の緊急事態宣言が発表されたときには、陽性率は約10%とほかの時期に比べて高くなってはいるが、急増していないというのが実態だ。
新型コロナの国内感染者が見つかった昨年の冬からこれまでの約1年間のデータを振り返ると、今後も、季節の移り変わりにより陽性率は上下すると考えられる。その一方で、感染率の波はなだらかで、実質的な感染者数が急増することはないと予想される。
【石井 ゆかり】
※厚労省の陽性者数とPCR検査実施検査人数から、集団感染の発生や曜日などのばらつきを平準化して全体の傾向を見るため、過去7日間の移動平均値を基に算出。
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