2024年12月22日( 日 )

「政商」楽天、三木谷会長兼社長が大ピンチ~日米政府が中国テンセントから出資を得た楽天を監視する異常事態に!(前)

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 楽天グループ(株)の三木谷浩史会長兼社長は、中国IT大手の騰訊控股(テンセント)子会社から出資を受けたことで、米国の虎の尾を踏んでしまったようだ。菅義偉首相とバイデン米大統領の日米首脳会議が4月16日、開かれた。対中国包囲網を築くべく、日米両政府は連携して楽天グループの監視を強めることで一致。「政商」として名を馳せた楽天グループのグローバル経営は曲がり角を迎えた。

日米両政府、楽天を共同監視へ

 共同通信が日米首脳会議の4日後の4月20日、「日米、楽天を共同監視、中国への情報流出を警戒」と報じた。中国IT大手の騰訊控股(テンセント)子会社が3月に楽天(株)の大株主となったことで、日米の顧客情報がテンセントを通じて中国当局に筒抜けになる事態を警戒。日本政府が外為法に基づいて楽天から定期的に聞き取り調査を行い、米当局と内容を共有することで、中国への情報流出リスクに連携して対処する、という内容だ。

 日米両国の経済安保協力は、菅義偉首相とバイデン米大統領が初めて臨んだ4月16日の日米首脳会談で主要議題となった。安全性の高い第5世代移動通信ネットワーク「5G」の推進や、半導体など重要物資の供給網(サプライチェーン)構築に関する協力拡大で合意した。

 バイデン政権は安全保障や経済環境をめぐって対立する中国を警戒し、安全保障上の重要な製品のサプライチェーンにおける「脱中国依存」を目指しており、今回の首脳会談で日本から一定の協力を取り付けたかたちだ。

 対中国包囲網の一環として、日米両政府が合意したのが、中国のIT大手、テンセント子会社から出資を受けた楽天グループを連携して監視をするというものだ。楽天グループへのテンセントの出資は、経済安全保障で注目が集まるテーマに浮上したのである。

楽天のテンセント系の出資で、官邸を激怒させる事態に

 会員制情報誌『FACTA』は3月28日付の号外速報として「スクープ!官邸が楽天・三木谷に激怒!/外為法無視の『テンセント出資』/日米首脳会談の足を引っ張る」と伝えた。

 楽天は3月12日、日本郵政(株)や米ウォルマートなどから総額2,423億円を調達する第三者割当増資を発表した。このとき、中国ネット大手のテンセントグループからも657億円の出資を受け、テンセントグループが楽天の3.65%の大株主になると発表されていた。

 楽天と日本郵政の関係強化の意義ばかり喧伝されたが、このニュースを見た政府関係者は驚愕した。株式の引受先にテンセントの子会社が含まれていたからだ。日米首脳会談で槍玉にあがる恐れがあり、初の日米首脳会談を前に、予想もしなかった懸案が持ち上がり頭を抱えているという内容だ。

 官邸が激怒したため、テンセントからの出資については、最後までもめにもめたという。楽天は3月29日、日本郵政からの1,499億円の出資は完了したが、テンセントについては遅れると発表した。最終的に4月1日に払い込みが無事完了したと報道された。

 これにて1件落着かというと、そうではない。「経済安保」問題に火が点いたのである。

(つづく)

【森村 和男】

(中)

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