【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(2)~24時間利用可能な「新福岡国際空港」が将来的に必要不可欠
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
5月から全61回にわたり連載した「2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想」を再度掲載する。
2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想を語るにあたって、まずは過去に議論した「新福岡空港問題」について振り返っておきたい。
筆者が事務局長を拝命しているC&C21研究会では、1986年の発足以来、「福岡には24時間利用可能な新福岡国際空港が必要」と一貫して提言してきた。
しかし、2008年のパブリック・インボルブメント(PI)では、現空港にもう1本の滑走路を設けることで、空港問題はいったんの決着を見た。
ターミナルも新しくリニューアルされ、西鉄を中心とした福岡国際空港(株)による空港民営化で運営体制も新しくなった。しかし、実はこの契約も、27年先の48年7月31日までの期限である。契約終了後も、おそらく再度の契約延長がされるのだろうが、このことは誰も論じていない。30年後には空港施設も古くなり、大規模なメンテナンスが必要になることも課題になるだろう。
“アジアのゲートウェイ”を豪語する福岡県・福岡市・(一社)九州経済連合会は、「国際金融機関の福岡誘致」も目指そうとしているが、たとえ魅力ある福岡であっても、24時間使える空港がない都市では、今後の持続的な発展を望めず、国際社会での地位を築くには、致命的であることに気づいていただきたい。
そうした意味も含め、「24時間使うことができない国際空港」と「市街地空港の危険性」という点に加え、「高額な環境対策費」となってくれば、必然的に新しい空港が必要となってくる。
空港新設には、調査・設計・建設などを含めて、30年以上の時間が必要になるため、現在の空港民営化の契約修了後に新空港の検討を始めたとしても、到底間に合わない。少なくとも滑走路の増設が終わり次第、30年後の空の玄関口の在り方を検討していく必要があると考えている。
24時間使うことはできない今の空港を、これから30年先、50年先もずっと使い続けていくことは、少々過激な物言いにはなるが、“愚の骨頂”であると言わざるを得ないだろう。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連キーワード
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