【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(14)~福岡空港と北九州空港をリニアで結ぶと?
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
現在、JR東海が「リニア中央新幹線」として、東京~大阪間を磁気浮上式リニアモーターカー(超電導リニア)で結ぶ工事を進めている。当初計画では、東京~名古屋間の開通が2027年、大阪~名古屋間の開通が45年の予定。全線開通すれば、東京~大阪間を最短67分で結ぶと試算されている。
国土交通大臣が工事実施計画を認可したのが14年で、全線開通予定が45年ということは、少なくとも30年以上はかかる大工事だ。しかも現在、静岡県が工事反対の姿勢を崩さないため、おそらく開通はさらに遅れることになるだろう。
建設コストについては、東京~大阪間を最短で結ぶ「南アルプスルート」の場合が、整備距離438kmに対して総工事費が8兆3,000億円。1kmあたりの工事費は189.5億円になる。長野県の伊那谷を通るかたちで迂回する「伊那谷ルート」の場合は、整備距離498kmに対して総工事費が8兆8,000億円。1kmあたりの工事費は178.3億円になる。
このリニア中央新幹線と同じように、「福岡空港と北九州空港を超電導リニアで結んでシャトル便で行き来すれば、国際線・国内線の利用制限をしても対応できるのではないか?」という意見をこれまでに多く耳にしてきた。今でもそう考えている方はいるだろう。
では、仮に福岡空港~北九州空港間を超電導リニアで結ぶ場合を考えてみよう。
まず建設コストだが、福岡空港~北九州空港間の約61.3kmを1kmあたりの工事費約180億円で計算すると、総工事費は約1兆1,000億円となる。また、リニア中央新幹線の例にならうと、構想から完成まで約20~30年かかると想定される。利用料金は片道5,000円以上になるのではないだろうか。
超電導リニアで結んだ場合、福岡空港~北九州空港間の所要時間は約7分程度に短縮されると想定されるが、これだけの建設コストと年月がかかることを考えれば、現実的とはいえないかもしれない。
Map data (c) OpenStreetMap contributors, CC-BY-SA /一部加筆
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連キーワード
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