【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(15)~北九州空港&佐賀空港の利活用策についての結論
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
これまで数回にわたって、福岡空港だけでなく、北九州空港と佐賀空港を合わせた九州北部3空港を活用・連携させるかたちでの、解決策――大きく「利用制限型による連携」と「需要誘発型による連携」の2パターンでの連携の可否について述べてきた。
まず「利用制限型による連携」の場合は、そもそも国内線と国際線を分離することは、利用者にとっての不便さを招き、北部九州の拠点機能が失われるという点で、大きなマイナスである。
一方の「需要誘発型による連携」の場合も、新幹線やリニアの建設には莫大な時間と金銭コストがかかるうえ、完成したとしても利用者への負担が大きいという問題が残る。
結論として、北部3空港の連携・利活用は、福岡空港が現状抱えている問題の抜本的な対応策とはなり得ないのである。
蛇足とは思うが、書き添えておくと、以前に一度掲載した「九州北部3空港の着陸回数・旅客数・貨物取扱量の比較」のグラフを見ていただければ一目瞭然であるが、北九州空港はすでに開港して15年以上が経っているにもかかわらず、需要は福岡空港の10%前後。佐賀空港に至っては、開港から20年以上経っているにもかかわらず、その需要は福岡空港の5%前後である。それほどまでに、福岡空港とその他2空港との需要の差は、隔たっているのだ。
これらは、空港という非日常の施設であるからピンと来ないのであって、これをもっと身近な鉄道に置き換えて考えると、腑に落ちやすいかもしれない。
つまり、これまで論じてきた北部九州3空港の連携・利活用策というのは、「博多駅(福岡空港)がいっぱいだから、すぐ近くにある吉塚駅(北九州空港)や竹下駅(佐賀空港)に特急や新幹線(国際線や貨物)を停めて、博多駅(福岡空港)の利用を制限してはどうか」――と言っているようなものなのだ。少々、極端なたとえかもしれないが、そんなイメージである。
Map data (c) OpenStreetMap contributors, CC-BY-SA /一部加筆
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連キーワード
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