【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(16)~人口減で大規模空港はいらない?
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
これまで、福岡市の都市としての将来を見据えた場合の24時間利用可能な新・福岡空港の必要性や、九州北部3空港の連携・利活用の是非について論じてきた。こうした空港問題を議論する場合によくいわれるのが、「日本はすでに少子高齢化で人口減少の局面に入っているから、それほど大規模な空港はもう必要ないのではないか」という意見だ。
たしかに内閣府の発表によると、日本の人口は2055年には、もはや1億人を割り込んでしまうと推計されている。
しかし一方で、インドやASEAN諸国の人口は依然として増加傾向にある。中国の人口も20年~30年ごろをピークに減少傾向に転じるとされているが、それでも人口規模でいえば日本の約13倍だ。
世界の実質GDPの予想を見ると、米国・中国・EU・インド・ASEANで上昇が見込まれている。日本も1人当たりGDPは増加傾向にあるものの、これは決して全体のGDPが上がって豊かになっていくわけではなく、単に人口減によって“分母”が小さくなっただけであることに気付く必要がある。
こうした将来予測を踏まえた結論として、「福岡を含めて九州、そして日本全体が人口減になっていくから大規模空港はいらない」という主張は正しいものではなく、むしろ人口が減っていくからこそ、海外からたくさんの方々に福岡を訪れてもらい、外貨を落としてもらうことが、九州経済に潤いをもたらしていくのではないだろうか。つまり、都市・福岡の将来的な発展を下支えするうえで、24時間利用可能な新・福岡空港は必要不可欠なのだ。
もちろん前提として、現在のようなコロナ禍の状況をどうにか克服してからの話ではあるが…。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連キーワード
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