2024年12月29日( 日 )

QOLの向上は食事と運動にあり(前)

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大さんのシニアリポート第108回

大さんのシニアリポート    近頃、本気で100歳まで生きたいと思っている人は少なくないのではと思う。しかし、寝たきりでの延命は本意ではない人も多いに違いない。運営する高齢者の居場所「サロン幸福亭ぐるり」(以下「ぐるり」)のコンセプトの1つが「健康」である。人気のカラオケも、見方によっては「ボイストレーニング」ともいえる。「陸上のカーリング」といわれる“ボッチャ”も、頭脳と身体を同時に鍛えるスポーツだ。さらに昨秋からはじめた「マッスル倶楽部」(「トコろん元気百歳体操」「とこしゃん体操」「誤嚥予防体操」「ダンベルダイエット」「マッスル音楽隊」)は、文字通り筋力アップと心肺機能を高める体操である。QOLの向上は運動と食事、それに柔軟な思考性にある。

サロン幸福亭ぐるり    QOLとはQuality Of Lifeの略で「生活・生命の質」の意。生活を物質面から量的にのみとらえるのではなく、精神面の豊かさや満足も含めて、質的にとらえる考え方である。健康は最も重要なファクターである。運動・食事はその両輪といえよう。今年5月で78歳になる私には、「高血圧症」(降圧剤使用)、γ-GTPと尿酸値がやや高め(飲酒によるもの)のほかは、とくに問題はない。私の例をたたき台にして検証してみる。

・運動
 毎日8,000歩目標のウォーキング。週2回の「マッスル倶楽部」(時間があれば毎日でも)。

・食事
 1日3食。週3日朝食は粥。夕食時に飲酒。毎週木曜日は昼断食(昼食を抜く)。

・朝茶
 起床(午前6時頃)後、妻と朝茶をいただきながら会話。

・サプリメント(的)
 朝食時に荏胡麻(えごま)油を小さじ一杯。運動後、「豆乳おからパウダー」(キッコーマン)を牛乳に溶かして飲む(プロテインのようなもの)。毎日「カカオ72%」(meiji)のチョコレート少々。

・趣味
 バドミントン、卓球(残念ながら相手がいません)などの運動。レコード鑑賞(レコードを600枚以上)。ターンテーブルにレコードを据え、カートリッジのついたアームをレコードに置く。事前にレコード盤の埃を拭き、カートリッジの針先の塵を特製のルーペで確認。塵を専用の刷毛で取り除く。HERBETHとB&W(英国製のスピーカー)から流れ出る音は、CD(聴きやすいようにHz〈ヘルツ=周波数と振動数〉の上と下をカット)とは比較にならないほど臨場感溢れる音場となる。「そこまでして…」という声も耳にするが、パーフェクトなアナログは人の心を和ませてくれるものなのです。拘りをもつことこそ生きがいの原点。そして、独学で覚えたギターの弾き語り。

・仕事
 執筆業に定年はない。不安定な職業なのは先刻承知。自分の興味にかかわる分野を追い続けられるというのは幸せなこと。それと「ぐるり」の運営。コロナ過で來亭客数激減。資金繰りに四苦八苦。これも長生きの秘訣かもしれません。

 ここまで自分のことを書くとなんとなく気恥ずかしさを感じますが、自分自身の生活を顧みるという意味では、大切なことだと思う。

大さんのシニアリポート    「粥(かゆ)」の効能について、広島市の平和公園にほど近い曹洞宗普門寺の副住職吉村昇洋さんは朝日新聞(2020年11月17日)で、「お粥のクリーミーな香りとほのかな甘さに、ごま塩の香ばしさと塩気が加わり、至福のひとときです。目の前のお粥と向き合ううちに、体も心も自然とすっきりします」という。開祖道元禅師が食事の作法を記した書物『粥有十利(しょうゆうじり)』に、粥食は体の色つやを良くし、気力を増すなど、十の功徳があると説く。大本山永平寺(福井県)では、毎日朝食は粥。修行僧は粥を食べ、身体を整え、修行に励む。

 私の場合も、朝食の粥は胃腸を整える効能がある。米の量は少ないのだが、それでも十分に満腹感を得ることができる。粥の日、空腹感はあるものの一日中調子がいい。それにわずか一日だけだが、昼食を抜く日(プチ断食)も自分の身体の調子をみるいい機会になっているようだ。空腹を知ることは健康を知ることだと私は自認している。

(つづく)


<プロフィール>
大山眞人(おおやま まひと)

 1944年山形市生まれ。早大卒。出版社勤務の後、ノンフィクション作家。主な著作に、『S病院老人病棟の仲間たち』『取締役宝くじ部長』(文藝春秋)『老いてこそ2人で生きたい』『夢のある「終の棲家」を作りたい』(大和書房)『退学者ゼロ高校 須郷昌徳の「これが教育たい!」』(河出書房新社)『克って勝つー田村亮子を育てた男』(自由現代社)『取締役総務部長 奈良坂龍平』(讀賣新聞社)『悪徳商法』(文春新書)『団地が死んでいく』(平凡社新書)『騙されたがる人たち』(講談社)『親を棄てる子どもたち 新しい「姥捨山」のかたちを求めて』(平凡社新書)『「陸軍分列行進曲」とふたつの「君が代」』(同)など。

(第107回・後)
(第108回・後)

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