2024年11月24日( 日 )

【読者投稿】弁護士の懲戒請求 綱紀委員会に疑問(前)

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 11日にコロナ禍でマスク着用の是非を問う弁護士への懲戒請求事案について読者から投稿された記事「【読者投稿】コロナ禍でマスク着用の是非を問う 弁護士への懲戒請求事案(前)」を掲載した。
 この件について、新たな投稿があったので以下に紹介する。

懲戒請求の概要

 弁護士の懲戒請求を行った原告側が開催した会員制勉強会は、会場が公共の場である福岡市内のホテルだったため、出席者に対しマスクの着用をお願いしていた。

 出席者は、その協力要請に従って会場に入り、会員制勉強会に参加。しかし、被告である弁護士は、マスク着用に「法的義務」はなく、あくまでも「要請」なので、マスク着用を法律で強制されない限り、その要請に従う必要はないとして、かたくなにマスク着用を拒み続けた。さらにその弁護士は会場のスタッフを恫喝するかのような怒声を発し続け、職員に物を投げ付けて会場を立ち去った。

綱紀委員会が調査・認定した判断

 原告側が懲戒申請をした内容について、調査を行った福岡県弁護士会綱紀委員会と懲戒対象となる弁護士は、当日の言動について認めている。

 この弁護士の言動を踏まえたうえで、綱紀委員会は、今回、対象となる弁護士が参加を希望した会員制勉強会は、弁護士としての職務を遂行する業務なかの出来事ではなく、あくまでもプライベートの時間に参加した会の席上で起きたことだと判断。

 当該弁護士の出席が弁護士としての職能や職責と直接関係しないことから、努力義務として規定されている「弁護士は名誉を重んじ信用を維持するとともに廉潔を保持し、常に品位を高めるように務める」(弁護士職務基本規定第6条)という観点において、弁護士法第56条に定める「品位を失うべき非行」には該当しないとした。そのうえで懲戒請求者である原告側に対し「懲戒をしない」という決定書を通知したのである。

同業者と思われる読者からの意見

天秤 イメージ    この件について読者から「弁護士が弁護士を裁くということが、現在の社会通念から大きく外れている。今回の決定は、国民の誰もがく納得する裁定ではない」との意見が寄せられた。

 さらに「常識的に考えて、明確にぜひが判断できる事案なら、同業者同士が裁定しても国民目線と同様の判断や決定があり得るだろう。しかし、今回の事案を知る者からすれば、懲戒申請者側を第2条や第56条の法の下で規定し、弁護士で構成されている綱紀委員会側の見解によって納得させたいという意向を強く感じずにはいられない」とし、「裁判官や検察官は常に公正公平な利害関係のない立ち位置を堅持している。そのため国民は『裁判の大半は正しく裁かれている』と考えているものと思われる。弾劾裁判を例にすると、裁判官を罷免する権限を有するのは裁判所だが、自ら裁判官を調査して裁判を開始するわけではない。弾劾裁判は裁判官訴追委員会という別の機関から裁判官の罷免を求める訴えが提起された場合に限って開かれる、いわゆる『罷免の訴追』というもの。この訴追委員会を構成しているメンバーは、衆議院議員と参議院議員のなかからそれぞれ10名ずつ選び、合わせて20名の訴追委員で組織される機関となっている。だから、弾劾裁判は刑事裁判における検察官のような役割を担っている。交流のある顔見知り同士だったり、公私ともに付き合いがあったりする弁護士同士で構成されることもある綱紀委員会とは異なっている」。

(つづく)

(後)

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