2024年12月22日( 日 )

中国・職場の「35歳危機」は打ち破れるか?(後)

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 中国では、働くことに関連して最も注目されたのは、なんと言っても「職場での35歳の壁を打ち破る」という話題だ。35歳は本当に壁なのか。年齢制限をなくし、「35歳危機」を打ち破ることは可能なのだろうか。

精神的に落ち着いた人が必要なポジションもある

悩むキャリア イメージ    「私の読者のなかには、35歳以上の人がたくさんいる。この人たちは知識レベルが追いつかなくて仕事を失うのではない。インテリと呼べるような人もいるし、経験のレベルもおしなべて高い。しかし仕事を探すときにはやはり35歳という難関に阻まれてしまう」と話す全人代代表の蒋勝男さんは、有名な脚本家でありネット作家で、膨大な読者層を抱えている。

 蒋さんの分析によると、大学を卒業してから35歳になるまでの時期は、何年にもわたって職場で経験を積んでおり、仕事や業務という点でも世渡りの経験という点でも成熟の段階に達し、まさに働き盛りであり、大活躍する時期でもある。

 この見方に共感する人もいる。「一部のポジションに関していうならば、むしろ35歳以上の人の方が適任だと思っている」と話す初一さん(仮名)は、浙江省杭州市の企業のヒューマンリソース部門で働き、最近は人材募集と応募者の面接で忙しいという。「管理職を募集するときは、35歳過ぎがいいと思う。一定のキャリアがあり、仕事が手堅く、精神的に落ち着いた人がよりふさわしい。財務管理の職種では、35歳は働き盛りといえる」と初一さんは話す。

年齢制限撤廃が労働者の生活健康レベル向上にプラス

 ここ数年、社会の各界が「トータルライフサイクル」にしばしば言及するようになり、トータルライフサイクルの健康という大きなテーマに関心を寄せるようになった。

 そして、たとえば、「今や社会は経済成長の安定期に入り、私たちは社会・民生や福祉保障の向上に関心を寄せなければならない。休日出勤したり時間外労働をしたりしてしゃにむに働き、点滴を打ちながらでも仕事をし続けるといった価値観はもはや現代にはそぐわない。人々の仕事も暮らしもより健康的で秩序があるべきだ、より多くの時間を家庭のことに充て、子育てに関わり、生活の健康レベルを引き上げると同時に、社会の消費を全体として推進し促進すべきだ」といった見方もある。

 優秀な人材に対しては年齢を問わず、とすることで初めて、働く人は安全だと感じられる。「自分を高めるために勉強し、家庭を築き子どもを育てるには、ある程度の時間が必要だ」。

 職場における35歳未満の年齢制限をどのように改善したらよいだろうか。蒋さんは、「まず公務員募集で率先してこの殻を打ち破るべきだ。すべての企業が一気にこの制限を撤廃するというのは現実的ではない。公務員の募集を、最初に年齢制限を打破する突破口にするといいのではないか」と話した。

「35歳危機」を回避するために、何をすべきか?

 大部分の人が35歳危機にぶつかる根本的な理由は、企業が設けた壁だけでなく、若いときに目先の収入増加ばかり追いかけてきたことにも一因がある。年齢を重ねても、職業上のスキルが深まりや広がりを見せなければ、知らず知らずのうちに将来に多くの問題の種を残すことになる。

 そのため、「35歳の壁」を前にして、働く人自身も早くから計画を立て、自分の能力を絶えず高めていく必要がある。

 まずは生涯にわたる適応力を高めること。勉強を続けることはキャリアアップの尽きることのない原動力であり、生涯にわたる学びを強化し、新しい知識やスキルを身につけることになり、より多くのキャリアアップのポテンシャルを与えてくれる。

 それだけでなく、環境に積極的かつ主体的に適応することも必要だ。突如発生した新型コロナウイルス感染症にしても、デジタル化技術の必然的な流れにしても、こうした不確実な未来というものは、私たちにはコントロールできないものだ。私たちはただ環境の変化に順応し、環境の変化に基づいて自分の行動を絶えず調整するしかない。

(了)


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