2024年12月22日( 日 )

排ガスの低減と高燃費を実現「セラミックバー」の正体(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

止まらない原油高

ガソリンスタンド イメージ    2008年には原油価格が1バレルあたり103ドルを超え、原油高騰と言われたが、21年以降は新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻などの影響を受け、一部の先物市場で1バレルあたり140ドルに迫る高値を付けている。ウクライナ戦争が長期化した場合、1バレルあたり200ドルになることもあり得ると警鐘を鳴らす専門家もいる。

 日本や韓国のようにエネルギーの供給を海外に依存している国では、原油高は国や国民の生活に大きな影響を与える深刻な要因となる。日本は円安トレンドとなり、トラック協会の試算によると、1円円安になると、業界全体で150億円のコストアップがもたらされるという。バス、航空機、船舶など、燃料を使っている業界にとっては、大変な時期が到来している。

 一方、近年は、温暖化ガスの増加で環境への関心も高まり、環境規制も厳しくなり、業界では二重の負担が強いられている。自動車は人体に悪影響を与える窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)も発生させるので、排ガスの低減が切実に求められている。この流れを受けて、韓国で開発された新しいコンセプトの製品は高燃費と、排ガスの削減を謳っており、注目が集まっている。

燃料添加剤とは

 石油の中で私たちの生活に一番身近なものといえば、ガソリンだろう。ガソリンは、炭素と水素が結びついた炭素数4-10の炭化水素の混合物で、水より相当軽い液体である。ガソリンには、二種類あって、オクタン価が96以上のハイオクと、オクタン価が89以上のレギュラーがある。

 オクタン価とは、おおざっぱにいうと、燃焼室内で起こる異常燃焼の1つである「ノッキング現象」が起こりにくいことを表す指標である。ノッキング現象とは、金属的な音がすることや振動を生じさせる現象を指す。

 ここで、まずエンジンのサイクルについて予習しよう。エンジンの中にはシリンダーという筒があって、そのなかでガソリンと空気を混ぜた混合気を圧縮させた後、点火して爆発させ、そのとき発生した燃焼ガスがシリンダー内にあるピストンを押し下げ、その力を回転力に変換することで、エンジンはパワーを得ている。ピストンが点火に最適なタイミングの前に点火し、燃料が燃焼してしまうといけないので、ハイオクは燃料を燃えにくくして、途中で燃焼しないようにしている。一方、エンジンは経年化とともに、少しずつ燃えカスが堆積していって、ピストンやバルブの周辺が真っ黒になってしまう。それで、燃焼室や吸排気バルブ、インジェクターなどに堆積したカーボンなどの汚れを除去して、エンジンをリフレッシュするというのが、燃料添加剤である。

 燃料添加剤にはデポジット(燃え残り)を付きにくくする洗浄剤などが添加されており、燃焼作用で発生したスス(カーボン)やオイル汚れなどを、洗浄力のあるアルカリ性の特性をもつPEAで、溶かして剥がしてキレイにしていく。しかし、燃料添加剤の本来の目的は、エンジンの燃焼室や、吸排気バルブ、インジェクターなど、燃料供給系統の性能維持」であり、燃費向上や排ガスの低減を主目的とした製品ではない。しかし、今回韓国で開発され、世界的に販売されている製品は、燃費の向上と、排ガスの低減を目的とした製品である。

(つづく)

(後)

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